新聞・テレビが報道しなかった非正規労働者のメーデー

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チラシを配り実情を訴える非正規労働者ら(1日、東京有楽町で。撮影:筆者)

【ハケンという蟻地獄】
 非正規労働者ら(主催:全国ユニオン)が1日、都内の繁華街で労働条件の改善を訴えた。一人でも入れる労働組合である全国ユニオンは、大組織の「連合」とは別個にメーデーを開いている。製造業への派遣が解禁された2004年の前年から開催し、今年で8回目となった。

 「ハケン切り」で社会問題になった派遣労働をめぐっては、政権交代により「労働者派遣法」が抜本改正されることになった。仕事がある時だけ雇用される「登録型派遣」や「製造業(メーカー)への労働者派遣」の原則禁止である。

 ところが原則禁止とはいえ実施時期は法令の公布から3~5年の猶予期間がある。さらに改正法案では「常時雇用する労働者でない者については、労働者派遣を行ってはならない」とされているが、常時雇用の定義があいまいなため事実上は有期雇用となる。「派遣先で違法行為、脱法行為があった場合は直接雇用が義務付けられる」が、派遣元の条件に基づいてである。

 改正派遣法は抜け穴だらけなのだ。全国ユニオンの鴨桃代会長は「細かい所は骨抜き」と奥歯を噛む。

 非正規労働者らは新宿駅西口、有楽町マリオン前、秋葉原などで「雇い止め」や「交通費込みの賃金」など劣悪な実態を訴えた。非課税の交通費が課税対象となる賃金に含まれると、手取り収入が減るのである。もともと低賃金の非正規労働者にとっては踏んだり蹴ったりだ。

 もっとひどいケースもある――20代の男性は千葉市の清掃会社でアルバイトとして働いていた。給料は小額がさみだれで渡されていた。会社側が男性をつなぎ留めておくためだ。給料の不足分は4ヶ月で25万円にもなったため、男性は非正規労働者のユニオンに駆け込んだ。

 ユニオンが清掃会社の経営者に掛け合ったところ回答がふるっていた。「小額訴訟の裁判を起こしなさいよ。やり方は私が教えてあげるから」。

 労働基準監督署はさらにいい加減だった。「確かにあの会社はひどいんだ。裁判を起こした方がいいよ」。労基署は自らの役割を放棄したようなものだ。

 非正規労働者が置かれた実態を象徴するような両者の対応である。

 彼らから見ればまさに雲上人の「連合」傘下の労働者が前日の4月30日、代々木公園でメーデーを開いた。新聞・テレビは各社が取材に訪れ大々的に報道した。非正規労働者のメーデーを取材・報道したのは筆者一人だけだった。

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