「原則合意した」。官邸と新聞テレビが喧伝するTPPの危険性が専門家によって少しずつ明らかになっている。
民主党、維新両党が17日、医療分野について厚労省と内閣官房からヒアリングした。皆保険を なし崩し にしかねない分野であるのにもかかわらず、官僚たちは何ひとつ国民の不安に答えていなかった。質疑応答を再現する―
福山哲郎議員「アメリカからこうヤレ、ああヤレと言われてこうなったのか?それとも交渉の結果こうなったのか?」
厚労官僚「交渉の経過に関することは答えられない」
民主党議員「要請があったのか、どうか?」
厚労官僚「要請があったかどうかも教えられない」
大畠章宏議員「それで国民を納得させることができるのか?」
福山議員「公的医療はTPP交渉の議題に入ってなかったのか、どうか?」
内閣官房「議題も含めて交渉の中味ですのでお答えできない」
冒頭、厚労省は次のように説明していた―
「(合意内容は)我が国の医薬品の知的所有権制度と整合的なもの。現行制度に変更は生じない・・・社会保障分野において公的社会保険は適用除外になっており、TPPの影響は受けない」
官僚たちは自分たちに都合の良い事だけ説明しておいて、野党議員の質問には一切答えなかった。
官僚出身の篠原孝議員が斬り込んだ。
「大いに懸念がある・・・(TPP交渉で)アメリカは日本に大攻勢を掛けていた・・・高い薬を保険対象医薬にする。そして日本の医療保険制度に乗っかってアメリカの高い薬をガバガバ流す」。
篠原議員は続けた。「アメリカは方針を明らかに転換した。日本の制度がおかしいからアメリカの制度を押し付けるというのがTPPだが、押し付ける前に、既存の日本の制度を悪用してやろう、保険対象医薬にして…」。
篠原議員の指摘は正鵠を射ていた。確かにこれだと制度をいじる必要はない。厚労官僚の説明と辻褄が合う。
TPPに詳しい醍醐聰・東大名誉教授は「制度自体に大きな現状変更はない」としながらも、「薬価の高止り」など国民が被る不利益を指摘する。
官僚たちはTPPの負の側面(アメリカの本当の狙い)を隠しているのだ。
「(医療費の)大半を財政で負担。アメリカの薬品会社にドンドンお金が行く。保険制度がガタついて、財政破たんして、そして保険制度が持たなくなる」・・・TPP交渉の現場を知る篠原議員は予言する。
~終わり~
参考記事:
『TPPヒアリングで露呈 真相隠しハゲタカに国売る官僚』
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