派遣法改正、傍聴 「何ひとつ答えていない」政府答弁に非正規労働者の怒り

採決阻止のために国会前に集結した労働者。=12日、国会前 写真:筆者=

採決阻止のために国会前に集結した労働者。=12日、国会前 写真:筆者=

 派遣労働者は一生派遣のまま。正規労働者も安価な派遣に切り換えられる―

 労働者派遣法の改正(悪)法案が衆院厚労委員会できょう、強行採決される恐れがあったため、田中は厚労委員会を傍聴した。強行採決を阻止しようと駆け付けた非正規労働者Aさん(男性・30代)と共に。

 Aさんはいすゞの自動車工場で派遣労働者として働いていたが、派遣切りに遭ったため、裁判を起こしている。原告だ。

 厚労委員会の傍聴席は立ち見席も傍聴者で一杯になった。非正規労働者や支援者たちだ。

 安保法制同様、無理に無理を重ねているために政府側の答弁は意味がわからない。

 野党議員が質問した。井坂信彦議員(維新)だ。井坂議員は維新にあって派遣労働の実態に沿った追及をしている。維新には珍しい常識人だ。

 井坂議員が「なぜ個人には3年期間制限を設けているのか?(※)」と問うと塩崎厚労相と厚労官僚は口を揃えたように「一区切りで自分のキャリアを見直しスキルアップを図るため」と答えた。

 Aさんは「机上の空論」と吐き捨てた。「企業は安い派遣労働者をとっかえひっかえ して使い続けたいだけだ」。

派遣法の改悪に反対する労働者たちのシュプレヒコールが雨空に響いた。=12日、国会前 写真:筆者=

派遣法の改悪に反対する労働者たちのシュプレヒコールが雨空に響いた。=12日、国会前 写真:筆者=

 井坂議員が追及を続けると塩崎大臣の答弁はさらに現実離れしてきた。

井坂議員「雇い止めが目立って起きたら、どのような手を打つのか?」
 
塩崎大臣「都道府県の労働局に相談窓口を設ける…ハローワークに誘導する」。

 野党議員のヤジが飛んだ。「当事者は笑ってますよ。現実を知らなさ過ぎるって」。

 Aさんは「労働局に相談して済むんだったら、自分は『雇止め裁判』なんて起こしていない。ハローワークということは『次の仕事を探せ』と言うことじゃないか」と顔を真っ赤にした。

 「(政府は)結局、何ひとつ答えていなかった」。Aさんは当然のように受け止めていた様子だった。

 読者諸氏も衆院のインターネットTVで確認されるといい。かりに塩崎ファンであったとしても、答弁は理屈になっていないことが分かる。

 井坂議員が締めくくった―
「大臣の子供や孫が派遣労働者だったらどうするか? 真剣な想像力を持って我々は法改正を行わなければならない」。

 この後、渡辺博道委員長が委員長職権で質疑を終了しようとした。委員会室(議場)は騒然となった。民主党議員が詰め寄り、マイクを取り上げて渡辺委員長に「質疑終了」の宣言をさせまいとする。

 自民党議員たちは採決と勘違いしたのか。全員起立した。マイクがなかったこともあり、自民党議員の耳にも聞こえないほどの声で委員長は「これにて質疑は終了とします」と宣言したようだ。

 早ければ17日にも採決が強行される可能性が出てきた。

 「派遣労働者の声を聴け」。怒気を含んだAさんの声が、委員会室にひと際大きく響いた。

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 ※
改正案では人(個人)を変えれば派遣は無期限に使える。

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