海上保安庁の警備艇が猛スピードで抗議のゴムボートにぶつかる。暴走族のスポーツカーが自転車に衝突するようなものだ。
陸上では基地反対運動のリーダーが米軍のセキュリティー(日本人の基地従業員・雇用主は日本政府)に引き倒されて拘束された。
安倍首相は翁長知事に会おうともしない。その一方でボーリング調査はすでに始まった。辺野古基地本体の埋め立て工事は夏にも着手されそうだ。
住民の意向は全く聞き入れられず、国家による暴力で事が進んでいる。
こうした事態を受けて、今夕、参院会館で「辺野古新基地問題を考える院内集会」が開かれた。(主催:沖縄等米軍基地問題議員懇談会)
沖縄からはヘリ基地反対協議会の安次富(あしとみ)浩・共同代表が駆けつけた。
「辺野古だけでなく南部からも北部からもバスを仕立てて(キャンプシュワブのゲート前に)座り込みに来る。沖縄全土の戦いになっている。これは沖縄と日本政府の戦いなんです」。安次富・共同代表は怒りを込めた。
「辺野古は滑走路だけではない。(米軍は)最大級の強襲揚陸艦が接岸できる埠頭を作り、大浦湾を軍港にしようとしている。こういう事実をどうして在京紙は報道しないのか?」。安次富氏はマスコミにも不信感を示した。
「にじてぃ・にじららん。沖縄の怒りは受忍限度を超えている」。照屋寛徳議員(衆院・沖縄2区)も安次富氏と同じように怒りを表した。
「戦争をするための辺野古基地は作らせない。(本土の人は)同情ではなく真に連帯する意志を寄せてほしい」。照屋議員は声をふり絞るようにして訴えた。
沖縄は先の戦争で本土防衛のための犠牲となり、戦後は在日米軍基地の約75%を背負わされた。
「核抜き本土並み」という条件で佐藤栄作首相(当時)が米国から返還を勝ち取った沖縄。返還とは何だったのだろうか?
「1972年以降も、復帰前と変わらず、米兵から被害を受けている。私たちの自己決定権を実現したい。永田町の住民に将来を ゆだねる つもりはない」。安次富・ヘリ基地反対協議会共同代表の言葉が事態を象徴している。
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