ビルマ軍事政権にお墨付き、総選挙ボイコットを

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軍事政権トップのタン・シュエ国家発展評議会議長の写真を踏みつける在日ビルマ人女性。(27日、六本木・三河台公園。写真:筆者撮影)

 在日ビルマ人たちが27日、軍事政権が来月7日に実施する総選挙のボイコットを訴えて都心をデモ行進した。
 20年ぶりに行われる総選挙は、軍事政権にとってたとえ世界中のヒンシュクをかっても強行する意味がある。2008年に発布した憲法にお墨付きを与えるためだ。
 1990年に実施された前回の総選挙ではスーチーさん率いるNLD(国民民主連盟)が80%以上の議席を確保したが、軍事政権はこれを認めず、独裁を恣(ほしいまま)にしてきた。
 2008年発布の憲法は、この軍事独裁を正当化する内容となっている。「議会は軍関係の予算に干渉できない」「最高裁判所は軍事法廷が下した最終判決に干渉できない」「人権侵害や犯罪への関与が認められたとしても、憲法は軍関係者の免罪を約束する」などというものだ。
 軍事政権は総選挙で選ばれた国会議員に憲法を承認させ、正式に公布する。大統領を軍事政権内部あるいは意向にかなった人物の中から選ぶ。
 こうして「ミャンマーは民主的手続きを踏んで憲法を公布し、国家元首を決めましたよ」と国際社会にアピールする、というシナリオを描いている。こんな茶番を認めるのは中国と北朝鮮ぐらいなものだ。
 肝心の総選挙は、軍事政権の翼賛政党であるUSDP(連邦団結発展党)が圧倒的に勝つように仕組まれている。
 投票用紙には「国民登録番号」を記入しなければならない。恐くてUSDP以外には投票できない。少数民族地域では、そもそも選挙が実施されないだろう、といわれている。
 民主化運動にからんで祖国を追われた在日ビルマ人たちが総選挙のボイコットを呼びかけるのは、以上のような理由からだ。
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シュプレヒコールをあげてデモ行進する在日ビルマ人たち。(霞ヶ関・外務省前。写真:筆者撮影)

 1996年に日本に逃れてきたマウン・マウン・ウーさん(41歳)は、90年当時は学生で民主化運動に関わっていたため投票権を与えられなかった。今回の選挙については「日本政府は選挙結果を認めてほしくない」と話す。
 ミンスウェさん(40歳)は90年の選挙でNLDに投票した。「そうなる(軍事政権が結果を認めない)ものとは予想していたが、ガックリした」と顔をしかめた。
 まっとうな選挙が行われることを願って止まないビルマ人の心情には察して余りあるものがあった。
 参加者たちは六本木・三河台公園から霞ヶ関を通って日比谷公園までの道のりをデモ行進した。
 「日本政府はミャンマー軍事政権の汚いやり方に加担するな~」「ミャンマー軍事政権は国民を軍の奴隷にするな~」・・・ODA最大供与国でありながら軍事政権に寛容な日本政府に対して厳しいシュプレヒコールが飛んだ。
 血を吐くような叫びは外務省前に来るとひと際大きくなった。

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