雨風の強い夜だった。木守りの住民たちは「いくら千代田区でもイチョウの伐採にはやって来ないだろう」と判断し、警戒態勢を解いた。2022年4月26日24時のことだった。
それから30分後、千代田区は業者とともに神田警察署通りに来襲しイチョウ2本を伐採した。
切り株だけの無残な姿となったイチョウは、しかし、夏になると真っ青な葉と枝をつけた。眼を瞠る生命力である。
千代田区はイチョウがまだ生きていることが忌々しかったのか、それらを再び切ったのである。
イチョウ並木から50mと離れていない所に住む女性は「(2回目を切る)意味が分からない」と千代田区への不信を露わにする。
22日夜、衆院議員の阿部知子氏(立憲)がイチョウ並木の視察に訪れた。
医師でもある阿部議員は、切断された切り株を手で撫でながら「これ傷みたいね。切ること自体も酷いけど、切り方も酷いわね」と嘆いた。
神田警察署通りのイチョウ並木の伐採からは利権の香りがプンプンと漂う。伐採そのものではなく再開発に伴う利権である。
再開発は官製談合で逮捕・起訴された区議会議員が熱心に手掛けていた。伐採は逮捕容疑には含まれていないが。
再開発で歩道を拡幅するためイチョウを伐採する必要がある・・・というのが千代田区の理屈だが、まったくのこじ付けであることを1期工事が示している。(現在は2期工事)
1期工事区間はイチョウ並木を残しながら歩道を拡幅できているのである。(写真)
千代田区は「賑わいの街づくり」のためにイチョウから桜に換えるというが、ヒョロヒョロとした若木で賑わいが出るのだろうか?
意味が明確でないまま伐採作業を始めたため、切り方まで意味不明だ。イチョウを亡き物にしてしまうのが仕事とでも思っているのだろう。
命あるものより利権。実態を知れば知るほど千代田区の非人間性を感じざるを得なくなってくる。
~終わり~
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《読者の皆様》
昨年末から借金が続いております。赤字に次ぐ赤字です。