日本人ジャーナリストの長井健司さんがビルマ(ミャンマー)で治安部隊に射殺されてから3年が経つ。物価高騰に抗議した民衆蜂起の取材中、至近距離から撃たれた。事切れてなおカメラを手離さなかった姿は、軍事政権の非道さを今も生々しく伝える。
在日ビルマ人たちが25日、長井さんの命日(27日)に先立ち渋谷の国連大学前で追悼集会を開いた。命と引き換えに「ビルマ軍事独裁」を世界に訴えた長井さん(享年50歳)は、彼らにとって恩人であり英雄でもある。
長井さんの死後、日本政府の在留特別許可認定を受けた亡命ビルマ人は急増した。長井さんが撃たれた2007年には33人だったが、翌08年には382人と10倍以上に増えた(法務省入国管理局統計)。軍事政権による弾圧が続くビルマへの送還は人道にもとると法務省が判断したためだ。
07年の民衆蜂起を前に、日本に逃れてきたある男性(40代)は次のように話す。「自分は(茨城県)牛久の難民収容所にいたが、長井さんが殺されてわずか5日後に外に出られた。長井さんはヒーロー」。
祖国は11月、総選挙を行う予定だ。「軍事政権がスーチーさんを有権者登録した」というニュースが先週流れた。国際社会の批判をかわすための方便であることは明らかだ。スーチーさんの立候補を認めれば、軍事政権に対する国際世論の批判が高まるからだ。民主化への道は険しい。
2年前、日本に逃れてきた女性(20代)は「ビルマはホープレス」と顔を曇らせた。
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