政権獲得後初の民主党大会は、前夜と当日、小沢幹事長の元秘書3人が逮捕されるという異常な事態のなかで開かれた。逮捕容疑はいずれも収支報告書への記入漏れや虚偽記載による政治資金規正法違反だ。形式犯との指摘もある。
鳩山総理はじめ連立与党党首や閣僚が出席するため、会場の日比谷公会堂一帯は厳重な警戒態勢が敷かれた。日比谷公会堂は60年前、社会党の浅沼稲次郎委員長が右翼の少年に刺殺された場所だ。有楽町付近から機動隊が配置され、右翼の街宣車などはブロックされた。
それでも外国人参政権に反対する人々などが、インターネットの呼びかけで日比谷公会堂前に集結した。日の丸を掲げる人が目立つが「職業右翼」ではない。乳母車を押す母親、学生、年金生活者などだ。千人近い人々が大会開始前から終了後もなおシュプレヒコールを挙げ続けた。「外国人参政権を認めないぞ」「小沢を逮捕しろ」……。地の底から突き上げてくるような不気味な迫力だ。
街宣車のボリュームを一杯にあげてガナリ立てる右翼団体のスローガンは騒音にしか過ぎない。イヤガラセに情動は乏しい。だが、日常はサラリーマンであったり自営業者であったりする普通の人たちが集団となり、政治に対する不満を吐き出した時のエネルギーは凄まじい。ある男性(40代)は集会に参加した理由を「民主党に失望したから。『官僚の天下り廃止』なんて言ってるけど何もできていないじゃないか」。
参加者たちは「特捜部にエールを贈る」と言って検察庁に向かってデモ行進した。
渦中の小沢幹事長は検察の捜査手法を批判したうえで全面対決の姿勢を表明した――「事務所も収支報告にあたり計算間違いやら、記載間違いやらあったと思う。このような形式的なミスについてはほとんどのケースで修正あるいは訂正で許されてきた。それにもかかわらず今回の場合は最初から逮捕・強制捜査となった…(中略)…私はこのようなやり方については毅然として自らの信念を賭して戦っていく決意でございます」。
小沢氏は検察のリークを真に受けて報道するマスコミも批判した。「『不正な資金を入手して土地購入にあてた』というような報道があった」。
異論を認めず強権支配を敷く小沢氏の政治手法は、確かに民主主義とは相容れないものだ。だが検察が世論捜査し小沢氏がさも「真っ黒け」であるように人々の頭にすり込むのは、民主主義的でないどころかファッショでさえある。
新聞、テレビで作られたイメージは、インターネットで一気に増幅される。日比谷公会堂前に集まった人々も世論操作と無関係ではない。
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