第1Rは勝利でも枕を高くできない小沢幹事長

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“幹事長の職責を全うする。石川議員は辞職する必要なし”とする趣旨を述べる小沢幹事長(4日、民主党本部。写真=筆者撮影)

 民主党の小沢一郎幹事長の資金団体による土地取引事件で東京地方検察庁は4日、小沢氏の元秘書3人を政治資金規正法で起訴した。小沢氏本人は不起訴とした。小沢氏が関与した、という供述や証拠が得られなかったためだ。秘書を足がかりに小沢氏本人まで行く(逮捕あるいは在宅起訴)という検察のシナリオは脆くも崩れた。第1ラウンドは検察の敗北である。
 では、『小沢氏は枕を高くして寝られるか』と言うとそうとも言えない。小沢氏の師だった金丸信・元自民党副総裁を思い出す。金丸氏は佐川急便事件(92年)に絡んで5億円ものヤミ献金を手にした疑惑が持たれていた。東京地検は捜査を進めたが、有力な証拠はつかめず、処分は政治資金規正法違反による罰金20万の略式命令にとどまった。
 ところが、6ヶ月後には脱税で金丸氏を逮捕したのである。
 佐久間達哉特捜部長は処分を発表する4日の記者会見で「『現時点で』立件できるものはすべて処理した」と述べた。『現時点』と含みを残しているのである。
 大手・中堅ゼネコンを片っ端から家宅捜索し、幹部を一斉聴取した中から、今後捜査の進展につながるものを得ている可能性もある。金丸氏の例を身近で見ていただけに、小沢氏は枕を高くして寝られないのではないだろうか。
 田中角栄、金丸信の痛い教訓に学んだ小沢氏は実に用心深い、と言われる。直接金に触らないし自らが関与したような証拠も残さない。
 そのため数多くの秘書軍団を持ち、秘書になるには書生から始める。先生のためには身を捨てて尽くす心構えから叩き込まれるのである。検察のシナリオどおり簡単に自供したりはしないのである。
 秘書らが集めた巨額の金は主に選挙に使われる。選挙に当選しハレの国会議員ともなれば「小沢信者」となる。勢力拡大のために金は必要不可欠なのである。「数は力」が政治を支配する限り、小沢氏は危ない橋を渡り続ける。検察は狙い続ける。

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