除染作業で出た汚染物質の中間貯蔵施設の建設をめぐり「最後は金目でしょ」と発言した石原伸晃環境相がきょう、閣議後の記者会見で陳謝した。早々の陳謝で幕引きを図るのが狙いである。事の本質をマスコミが書き立てない限り、問題は沙汰やみとなりそうだ。
福島県西郷村から北海道に移住した女性(30代)は石原発言に対して憤りを隠さない―
「金目というのは金額を吊りあげればどうとでもなるという意味。そういう風にしか福島を見ていない。原発を建てる時からそうだった。その文脈がずっと続いている。誠意のかけらもない。札束で頬を叩く一方的ないつものパターンだ」。
《辞任も続投も記者クラブのサジ加減》
今回の件で思い出すのは、2011年9月の「鉢呂発言」だ。原発再稼働に慎重だった鉢呂吉雄経産相(当時)が福島を視察した後「死の街」と表現し、記者団に「放射能つけちゃうぞ」と言った、とされた。
「放射能つけちゃうぞ」について鉢呂大臣(当時)は「そんなことを言ったという確信を持っていない」と明確に否定した。「言った」「言わない」の騒動になったが、それを報じたメディア側から、証拠は出てこなかった。マスコミによる捏造の疑いが極めて濃い。
「死の街」について福島在住の知人は歓迎していた。「鉢呂さんはありのままを伝えてくれた。有難い」と。「死の街発言」は明らかに記者クラブによる言葉狩りだった。
鉢呂経産相は「捏造」と「言葉狩り」により辞任に追い込まれた。辞任表明の記者会見に筆者も出席した。記者クラブは敵将の首を取ったようなハシャギようだった。
鉢呂大臣のケースと比べて今回の石原発言はどうだろう。捏造でも言葉狩りでもない。「住民なんて金で解決できる」という本音がついつい出たのだ。いわば確信犯である。
石原発言の方が悪質であるのに、記者クラブメディアは鉢呂大臣の時ほど叩かない。石原氏が自民党だからか、それとも原発推進派だからか。