「特定秘密保護法」が成立して、きょうで、半年が経つ。公布(2013年12月13日)から1年以内に施行される(同法附則第1条)ことになっており、「平成の治安維持法」が国民をしばる日は、遅くとも年内にやって来る。
危機感を抱く野党議員や市民たちがきょう、衆院会館で集会を開いた。秘密保護法の廃止を求める請願署名13万8,525筆が、市民団体の代表から野党議員に手渡された。(主催:「秘密保護法」廃止へ! 実行委員会)
国会に設けられる「情報監視審査会」が特定秘密をチェックすることになっているが、お粗末な実態がここにきて明らかになった―
同審査会は衆参それぞれ8名で構成される。議席数に応じて割り振られるため、自公がほぼ独占する。衆院は6名、参院は5名を自公が占める(東京新聞報道による)。共産党、社民党は一人も入らない。
致命的なのは行政の長に拒否権があることだ。大臣やトップ官僚が「開示したくない」と言えば、それまでなのである。
審査会が開かれるのは電波が遮断された部屋だ。携帯メールによる交信などできないようになっている。審査会のメンバーである国会議員といえども会議の内容を洩らせば処罰される。まさしく密室審議だ。
情報を洩らせば罰せられるのは審査会の事務方を務める公務員も同様だが、彼らには「適正評価(検査)」が課せられる。事務方も徹底監視されるのである。
「何が秘密か? それは秘密です」。特定秘密保護法の精神を具現化したのが、「情報監視審査会」だ。皮肉である。ガス抜きにもなりはしない。
集会でレクチャーした上智大学新聞学科の田島泰彦教授は「実りある監視は不可能」と切って捨てた。
福島原発事故の惨状を記録した『吉田調書』が朝日新聞の手に渡ったのは、リークだった。「特定秘密保護法」が施行されれば、こうしたリークは出にくくなる。
国民にとって必要な情報は政府が厳重に一括管理する。「由らしむべし、知らしむべからず」。前近代的な社会が間もなく訪れようとしている。