安倍政権発足からちょうど1年のきょう、安倍晋三首相は靖国神社を参拝した。筆者が「安倍参拝」を知ったのは岸田外相の記者会見の最中だった。首相は11時30分に靖国神社に到着するという。記者会見が終わったのがちょうど11時。筆者はそのまま靖国神社に走った。
要人の出入り口である「到着殿」前はマスコミで黒山の人だかりだ。靖国神社上空をヘリコプター数機が旋回する。
予定より5分遅れて安倍首相は到着殿に着いた。モーニング姿の首相はうつむき加減で緊張した面持ちだった。
靖国参拝は第一次安倍政権(2006年9月~2007年9月)で果たせなかった悲願だ。
近隣諸国との摩擦が懸念される。よりもより、きょうは中国建国の父・毛沢東の生誕記念日である。中国の反発は避けられないだろう。米大使館は「近隣諸国との緊張を悪化させる行動に失望している」との声明を発表した。
同盟国の憂慮、近隣諸国との関係悪化など、ものともせず。参拝を済ませた安倍首相の顔は入殿の際とは人が変わったように晴れ晴れとしていた。日の丸の小旗を振る支持者に手をあげる余裕だ。
消費税を上げ、生活保護は減らす。知る権利を奪い、愛国心を強制する。戦争に道を開くのではないか、と多くの国民が恐れる。
近年の日本でこれほど庶民を踏みつけにする宰相も珍しい。安倍政権発足1周年のきょう、首相官邸前で「反アベ集会」が開かれた。「反アベ」を正面から掲げるのはこれが初めてだ。
呼びかけたのは「火炎瓶テツと仲間たち」。秘密保護法、原発などの反対運動を引っ張ってきたグループだ。立ち上がるべくして立ち上がったという感もある。
「年内に安倍内閣反対の声を官邸前であげる必要があった」。リーダーの火炎瓶テツさんは口元を引き締めながら話した。
安倍政権は来年、集団的自衛権を行使できるようにするものと見られている。原発も再稼働させる可能性が高い。共謀罪もセットアップされようとしている。
あえて「反アベ政権」としなくても“統一戦線”ができそうな政治・社会状況となりそうだ。