「上陸作戦」「渡河作戦」演習は本気度を示す

ドニエプル川に架かる橋はまだ落ちていなかった。写真右側がキーウ。=2022年3月8日、開戦から13日目=

軍事侵攻するのか、しないのか。それは独裁者の胸三寸で決まる。

「中国性悪説」は不必要な緊張を招く。高市政権を見れば言うまでもない。一方「中国性善説」は無防備すぎる。心が美しすぎて危ない。

「中国軍が南部の沿岸で上陸訓練を行った」との一部報道があった。当然のごとく「折り畳み桟橋」が出動していたようだが、「折り畳み桟橋」は本気度の表れだ。

2022年2月、ウクライナに本格侵攻することになるロシア軍は、前年末から隣国ベラルーシに大規模駐留し、圧力を掛け続けた。田中も前年末からウクライナに滞在し、動向に着目した。

イルピン川の橋はウクライナ軍が落とした。首都を守るためだ。=2022年3月11日、キーウ近郊 撮影:田中龍作=

ロシア軍はこれみよがしの軍事演習を実施するのだが、「折り畳み桟橋」「移動式桟橋」を用いての渡河作戦を念入りに繰り返した。

首都キーウを陥落させるにはドニエプル川を渡河しなければならないからだ。

ロシア軍がキーウに迫ればウクライナ側はドニエプル川に架かる橋を落とす。

田中は2月24日の侵攻当日こそ大きな爆発音のあったキーウ空港に向かったが、翌日からは連日ドニエプル橋を見下ろす高台に上った。橋が落とされていないかをチェックするためだ。

ロシア軍の拙攻で、ドニエプル川に架かる橋は結局落とされなかった。

だがイルピン川に架かる橋は開戦後、間もなく落とされた。イルピンはキーウに隣接する。首都を守るためにウクライナ軍が橋を爆破したのだ。

橋げたの下では銃撃戦が続いていた。=2022年3月11日、イルピン橋 撮影:田中龍作=

ベラルーシから破竹の勢いで進撃してきたロシア軍とウクライナ軍は熾烈な攻防を展開した。一進一退だった。

ロシア軍が押し切っていたら、折り畳み式あるいは移動式桟橋が出動し、大軍を首都に雪崩れ込ませていただろう。

ノルマンディー上陸(1944年・第2次世界大戦)、仁川上陸(1950年・朝鮮戦争)、スエズ運河渡河(1973年・第4次中東戦争)…が示すように上陸作戦と渡河作戦は、世界史を彩る数々の戦争において戦局を大きく変えてきた。

侵攻する、しない、はともかく。「移動式桟橋」「折り畳み桟橋」には、中国の本気度が見て取れる。

 ~終わり~

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