炊き出し 「自宅のある生活困窮者が圧倒的多数」

用意していたカレーライス120食は瞬く間にはけた。=5日、渋谷 撮影:田中龍作=

 毎週土曜日夕方に行われている渋谷の炊き出し(主催:のじれん)を久々に取材した。山手線の電車がゴオゴオと走る風景に懐かしささえ覚えた。

 田中と渋谷の炊き出しとの付き合いは10年以上にもなる。

 もともとは宮下公園が炊き出しの会場だったが、再開発で追い出されたため、ボランティアと野宿者(ホームレス)たちは近くの美竹公園に移動した。

 ところが美竹公園も再開発されることになり、またもや移転を余儀なくされる。昨年末のことだ。以後、神宮通公園を利用している。

 宮下公園は高木が林立し、夏は涼しく冬は暖かかった。新宮下公園は4階建て複合施設の屋上に持って行かれ、ヒョロヒョロとした木が申し訳程度にあるだけだ。炊き出しはご法度となった。

=5日、渋谷 撮影:田中龍作=

 炊き出しは傾向が変わり始めている。かつては「炊き出し=野宿者」だったが、ベテラン・ボランティアによれば「最近は(自宅のある)生活困窮者の方が圧倒的に多い」のだそうだ。

 自宅住まいの男性(50代)は自民党女性局のフランス旅行に憤る。「エッフェル塔の前でふざけている。あいつらが税金使って行く金を福祉に回せば、みんな食っていけるんだ」。

 着ている服、肌の焼け具合、体臭で野宿者であることが分かるのだが、最近はめっきり少なくなった。

 公園は交通の便が良く十分な広さがあるため、再開発の餌食になりやすい。日比谷公園が格好の例だ。

 再開発で追われるのは野宿者だけではない。炊き出しで食いつなぐ生活困窮者も同様だ。

 進む一方の雇用破壊、物価高、増税…生活困窮者は増えることがあっても減ることはない。上級国民以外の人々が炊き出しの列に並ぶ日が目に浮かぶ。

 ~終わり~

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