マスコミの世論操作により高い人気を維持していた元首相が凶弾に倒れた。昨年7月8日のことだ。自民党支持者を中心に人気は劇的なレベルにまで高まった。
安倍元首相の一周忌がきょう8日、東京芝の増上寺で営まれた。一般の参列は午後1時からの予定だったが、一時間繰り上げられた。参列待ちの人々が溢れて危険な状態になったためだ。
取材制限はすこぶる厳しかった。新聞テレビといえども増上寺前を走る大通りの対岸からの撮影となった。
黒塗りの高級車が次々と境内に吸い込まれて行った。白バイに先導されたセンチュリーには最高権力者が乗る。スモークガラスに遮られて岸田首相の顔は見えない。
安倍家、自民党、安倍派。3者主催の法要は午前11時から始まった。
12時30分頃からマスコミは境内への立ち入りを許された。田中は仏リベラシオン東京特派員の記者と共に山門をくぐった。
取材できる範囲はごく限られた。一般参列者用の献花台周辺のみだ。
法要が営まれた本堂付近には立ち入ることができない。制服私服の警察官がびっしりと配置されていて、勝手に動こうものなら立ちどころに捕捉される。
田中は一度、境内を出た。本堂から寺の外に出てくる元首相ゆかりの人物を待ったのである。
間もなくだった。長身で背筋がまっすぐに伸びた男性が悠然とこちらに向かって歩いてくるではないか。仕立てのよいスーツは大物政治家であることをうかがわせた。
衆議院憲法審査会・与党筆頭幹事の新藤義孝氏であった。改憲派の司令塔である。安倍元首相の盟友中の盟友だ。
新藤氏は太平洋戦争最激戦地のひとつだった硫黄島の戦いで、守備隊の最高指揮官だった栗林忠道中将の孫である。
新藤氏は田中のインタビューに「私が憲法審査会をやってるので安倍総理の遺志(憲法改正)をしっかり引き継ぎたい」と答えた。静かな口調が自信を裏打ちしていた。
国会の勢力を見る限り護憲派は少数だ。国民投票は新聞テレビが作り出す世論で改憲が決まるだろう。
元首相は死して改憲を残すことになる。
~終わり~
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