私たち一人ひとりの個人情報はここまで無防備だったのか。衝撃の事実が明らかになった―
マイナ保険証を拒否して登録していなくても、マイナカードをかざして暗証番号を打ち込めば、ポータルサイトで、その人の病歴や投薬歴が読める、というのだ。
今日11日、立憲民主党の対政府ヒアリングで長妻昭元厚労相が明らかにした。
マイナカードと暗証番号が盗まれた場合、他人に知られたくない病歴や投薬歴が丸裸にされる。
総務省マイナンバー制度支援室の小牧兼太郎室長は「24時間で電話対応している」と答えた。
役人答弁である。世の中そんなに単純ではない。
クレジットカードの被害に喩えると分かりやすい。一般社団法人・日本クレジット協会によると「被害者の54.2%がクレジット会社から知らされて初めて気づいた」という。
カードそのものが盗まれなくてもスキミングされれば、盗まれたも同様である。被害総額は330億円にのぼる(2020年=同協会まとめ)。
「個人情報保護委員会がデジタル庁に査察へ」。大見出しが全国紙の一面に踊った。
期待を寄せた向きも多いのではないだろうか。11日のヒアリングでは個人情報保護委員会からも事情を聴いた。
答弁を聞き、何か肩透かしに遭ったような気分になった。それもそのはず。河野デジタル担当相が個人情報保護委員会の所管大臣なのである。
個人情報保護委員会の片岡参事官は「立ち入り検査を検討中。我々としても速やかにやりたい」と意欲を見せたものの、「論理的には(立ち入り検査を)しない可能性もある。最終的には委員会で決める」と逃げた。
河野大臣にも立ち入り検査をするか?と野党議員が質問した。個人情報保護委員会の役人は「法の下の平等に基づいて特定のターゲットにすることはない」と半ば否定した。
混乱のデジタル庁に独立委員会の査察が入り、ご政道が正される、という期待は望み薄のようだ。
~終わり~
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