「4月23日は私たちにとって一番身近な選挙、杉並区議会選挙です」。
勤め帰りの人たちが行き交う夕方の駅頭。よく通る声で呼び掛けているのは選挙管理委員会ではない。
対話集会でお馴染みの岸本さとこ杉並区長である。選挙にもっと関心を持ってもらおうと区内の有権者に呼びかけているのだ。名付けて「岸本聡子のひとり街宣」。
日本政治の最大の病根は自民党ではない。低投票率、つまり有権者が選挙に行かないことである。
岸本区長に低投票率について聞くと「政治家に責任がある」と答えた。政治家として明確な責任感の持ち主である。
岸本区長が話し始めると道行く人が次々と足を止めた。ほとんどが杉並区の有権者だ。
対話集会ではないにもかかわらず区長と区民の対話が始まった。お互いマイクなしの地声だ。
60代男性は「(区役所の)出張所がなくなってねえ。遠くまで歩かなきゃならないんだ」。
40代の男性は「キックボード(電動スクーター)をどうするか?」。
30代の男性は「道路を拡張してほしくない」。
有権者たちは銘々に要望や疑問をぶつけた。区長が即決で答えられる問題ではない。区長の専権事項でもない。それでも岸本氏は親身に耳を傾け答えられる範囲で答えていた。
ある主婦が「高円寺純情商店街の再開発はしてほしくないんですけど?」と質問した。
純情商店街の再開発は杉並区民にとって大きな関心事である。田中前区長が再開発に前のめりだったので、区民の心配はひとしおである。
岸本区長は即座に「何も決まっていないので大丈夫」と答えた。きっぱりとした口調だった。住民の心配事に寄り添っているのだ。
首長が変われば政治は変わる。政治を諦めまい。4日を皮切りに始まった「ひとり街宣」は来週一杯続く。
~終わり~