
きょうのキエフ市中心部。この時点でロシア軍の絨毯爆撃は始まっていない。正面の巨大な建物は中央市場。=3日午後7時(日本時間) 撮影:田中龍作=
3月3日。開戦から8日目のキエフは朝から小雪の舞う日となった。
きょう未明(日本時間:午前8時40分頃)、大きな爆撃音のした方に田中は歩いた。方角、爆発回数ともにホテル従業員の認識と一致する。
当地に来て聞いた爆撃音では最大だった。
キエフの象徴でもある独立広場(マイダン)を軍が固めていた。
独立広場の坂を上り切って右に行けば大統領府、左に行けば中央銀行、国会議事堂がある。坂の途中には政府庁舎がある。大統領府まではわずか100m。独立広場は国家中枢の入り口でもあるのだ。
坂の手前には巨大な戦車止めが置かれていた。ロシア軍の陸上部隊が目前まで迫っている証だろうか。
写真を撮って読者にお見せしたいが、カメラを向ければ、大統領府前で起きた事件(2月28日)のように、軍に拘束される。今度は長期に及ぶだろう。
田中はここで引き返した。この戦争を最後まで見届けなければならないからだ。
ウクライナ軍と戦車止めを撮影したがために拘束されれば、取材はもうできなくなる。
キエフは日一日と緊迫の度を増す。

独立広場。かつては巨大なレーニン像があった。2月24日、ロシア軍の侵攻が始まるとカラシニコフAK47を手にした人々が集まり始めた。=キエフ市 撮影:田中龍作=
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