「米国人は24~48時間以内にウクライナから去るべき」「北京オリンピックが終わる以前にロシアは侵攻を開始する可能性がある」(11日、サリバン大統領補佐官=安全保障担当)。
日本政府も11日、邦人に退避勧告を出した。
米国市民や邦人の脱出ラッシュが始まっているのではないかと思い、田中は12日朝、ボリスピル国際空港にカメラを持って出かけた。
ところが出国ラッシュはまったくなかった。日本人の姿は一人もなかった。
米国人のグループがいた。カフェでシャンパンやビールを楽しそうに飲んでいる。
「脱出するのか?」と聞くと「違う。バケーションで国内旅行だ」と答えた。成田空港から国内線が出ているのと同様、ボリスピル国際空港からも国内線が出ている。
グループの一人は「ノット・パニック」と笑ってみせた。
ロシアとの戦争は2014年から続いているのである。戦乱慣れしているのだろうか? それとも出る人はすでに出てしまったのだろうか?
「ロシア軍の侵攻は空爆から始まる」(ホワイトハウス)。「ロシア軍、週明けにも攻撃開始」(米PBS)。
ウクライナ危機を伝えるメディアは何が起きてもいいように身構える。
某新聞社は黒海からの急襲に備えてオデッサに記者を出したようだ。
名うての戦場ジャーナリストたちは、東部ドンバスだ。8年にわたって続く白兵戦の現場から離れるのは難しい。
どれも行きたい現場ばかりだ。だが体はひとつしかない。田中はキエフに陣取ることとした。
大軍を集結させ、慣らし運転をするベラルーシ国境からキエフまで車で5~6時間。ロシア軍はその日のうちに首都を陥れることができる。
落としどころが見つかって急転直下の解決となれば良いのだが。
~終わり~