福島の原発事故からちょうど10年目の年、この国はまた世界に恥ずべきことをしでかした。
政府は東電福島第一原発の事故処理で大量に発生する汚染水を海洋に投棄することを、きょう13日、閣議決定した。
海洋投棄以外の処理方法としては、「セメント状に固形化して地下に埋設」「大型タンクの新設(空地はまだある)」がある。
だが、政府は海洋放出という最も安あがりな方法を選んだ。東電に配慮してのことだ。
セメント状に固形化して地下に埋設すると2,431億円かかるが、海洋投棄だと34億円で済む。約80分の1なのである。経産省が「多核種除去設備等処理水の取扱いに関する小委員会」に提出した資料で明らかになった。2019年のことだ。
海は世界とつながっている。福島原発由来の放射能は各国の海を汚染するのだ。日本の記者クラブメディアを抑えることはできても、海外のメディアを抑えることはできない。
13日、首相官邸前で行われた抗議集会には、田中が目視しただけで米国AP、フランスAFP通信社、中国中央電視台、韓国のテレビ局SBSが取材に来ていた。各国を代表するメディアである。AP、AFPは世界的メディアでもある。
韓国SBSのユ・ソンジェ記者は田中のインタビューに次のように語った―
韓国の政府も市民団体も心配している。(福島は太平洋側、韓国は日本海側だが)2年後くらいに回流するかもしれない。
韓国では、福島に近い千葉県産の物まで海産物輸入禁止にしている。禁止措置は当分の間続くだろう。
日本政府や東電の発表だけでは信用できない。
いずれはこういうことになる(海に放出する)と分かっていたが、やっぱりこれか。なんで今なのか。
韓国も中国も(放出しないよう)求めてきたが、日本(政府)は(日本)市民の声も聴いていない。これは問題じゃないか」。
~終わり~
◇
『田中龍作ジャーナル』は新聞テレビにない視点からニュースを伝えます。読者の御支援により維持されています。↓