「緊急事態とは関係ない。ずーっと仕事がないんですから」。
プリンスホテルのシフト労働者、小川利雄さんは、厚労官僚に向かって訴えた。振り絞るような声だった。
政府が非正規労働者に対する休業支援金の遡及適用期間を昨年の4~6月(※)に限定しようとしている問題で、立憲民主党がきょう17日、厚労部会を開いた。小川さんの訴えはこの部会で出た。
昨年4~6月は第1回目の緊急事態宣言期間(4月7日~5月31日)とほぼ重なる。
休業支援金の支援対象を、第1回目の緊急事態宣言とほぼ重なる期間に限定し、7~12月を外したのは、大企業への配慮からだ。
7~12月も休業補償の対象と認めてしまうと、今後、コロナ以外の問題でも休業補償しなければならなくなる。雇用の調整弁であるシフト制労働者が調整弁でなくなってしまうのだ。
立憲民主党の厚労部会に先立って、国会正門前では、非正規労働者たちが「公平な休業支援金を」と声をあげた。
国会内では折しも菅首相が出席し衆院予算委員会が開かれていた。スピーカーのボリュームを上げていたので、声は届いていたはずだ。
非正規労働の裾野の広さには改めて驚いた。バスガイドの女性がマイクを握った。
彼女は非正規社員でも派遣でもない。仕事がある時だけ乗務するフリー契約だ。去年の2月7日が最後の仕事だった、という。その後、一度も乗務はない。貯金を取り崩しながらの生活だ。
「どの給付金にも当てはまらない。仲間が一人二人と命を絶っていった。どうか助けて下さい」。救済制度の枠が小さいのだ。
去る1月29日、官邸に乗り込みスガ首相に直談判した大手飲食チェーン店のシフト労働者(女性)は、次のように訴えた―
「私たち労働者は企業規模など関係なく同じように働いています。なぜ補償からこぼれ落ちているすべての方を対象にしてくれないのか。今のままの内容ではまた対象から外れて申請できない方がたくさん出ますし、申請できたとしてもほんのわずかな金額しか受け取ることができません」
「総理、聞こえていますか。私たちの声を無かったことにしないで下さい・・・労働者間で差をつけず、昨年4月から現在に至るまで対象期間を拡大し、しっかり8割で補償されるよう指示を出してください」
「スガ総理の決断で、救われる方が何十万人もいるのです。どうか、どうか総理大臣としての決断をしてください。お願いします」。
~終わり~
※道府県ごとに時短要請が発令された期間も対象となる。
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