総理さえも逮捕できる検察と権力を監視するはずのマスコミが安倍官邸の下僕に堕した今、不正を質せるのは誰か。
市民団体の「安倍首相による検察支配を許さない実行委員会」がきょう、賭け麻雀の黒川弘務・前検事長を常習とばく罪で検察審査会に申し立てた。
同罪で告発された黒川前検事長を東京地検が不起訴としたことに異議を唱えたのである。
申立書によると黒川前検事長は—
産経新聞の記者2人(司法記者)と朝日新聞社員(元司法記者)と4月13日から5月13日にかけて4回、現金を賭けて麻雀を打った。この他にも10年以上にわたって赤坂や新橋の雀荘で賭け麻雀に興じていた。
常習性は否定しがたい。常習賭博は懲役3年以下の量刑に処せられる。
この国がまだ健全だった頃、司直は公務員の常習賭博に厳しかった。市役所の職員が賭け麻雀で逮捕された現場を目撃したこともある。
黒川氏がトップを務めた東京高検内部の綱紀によると常習賭博は、免職の次に重い停職処分なのである。ところが黒川氏に下されたのは「訓告」。懲戒にはあたらないのだ。上司による注意のようなものだ。
賭け麻雀の相手が司法記者たちだったということも大甘処分の理由だろう。
告発も不起訴、組織内の処分も事実上なきに等しい。
ふざけた話だった。申し立て代理人の大口昭彦弁護士は「不起訴の理由は新聞報道で間接的に知るしかなかった」と憤る。マスコミは共犯者なのだから、こちらもお身内には大甘だ。
マスコミが許しても市民は許さなかった。不起訴通知が届いてわずか1週間で121人が検察審査会への申し立てに名を連ねた。
申し立ての取りまとめ役である藤田高景氏(安倍首相による検察支配を許さない実行委員会代表)は「日銀とNHKのトップを決め、検察をも支配する。黒川氏の人事は安倍独裁の仕上げの段階だった」と話す。
黒川氏の検事総長就任にストップをかけたツイッターデモの効果は絶大だった。
藤田氏は森友、加計問題の追及も続ける。繰り返すが、日本のジャーナリズムと司直に正義を求めることはできない。まっとうな世の中は、市民の良識で守る他ないようだ。
~終わり~