革命でも起きない限り、辺野古の埋立てを止めるには、右の勢力をどれだけ味方につけるかが肝要になってくる。自陣に引き込むところまで行かなくても、理解を深めてもらえば、御の字だ。
15日、米軍基地建設を支持する高須克弥氏(高須クリニック院長)が、辺野古の現場海域を視察した。辺野古埋立てに反対する原口一博元総務相が氏に声を掛けたのがきっかけだった。深謀遠慮である。
高須氏は原口元総務相や沖縄基地問題のエキスパートらと共にグラスボートに乗った。新基地建設に反対する専門家が辺野古の埋め立ての違法性を説明すると、氏は真摯に耳を傾けた。
ジュゴンの餌場とサンゴが高須院長を出迎えた。海底は神秘にして饒舌だった。
高須氏は食い入るように海底を見つめ、サンゴ礁を一心不乱に携帯のカメラに収めた。生き物に向き合う医師に、海の声が聞こえたのだろう。「サンゴは庭師が木を切るように移植できるもんじゃない」・・・高須院長は しみじみと 語った。
安倍首相が6日、国営放送で「アソコ(辺野古)のサンゴは他の場所に移植した」と口から出まかせを言った。高須氏が辺野古を視察したのは15日。首相のウソ発言で世が騒然となっている最中だった。
サンゴをめぐって、高須氏は安倍首相と違う見解を述べたのだ。マスコミを筆頭に日本の言論空間が安倍首相のマウスピースと化すなか、高須クリニック院長という影響力のある人物が、首相と異なる見解を洩らしたのである。
相手の背景を知ろうとして現場に行くこと自体が、価値ある行動と言えるだろう。「深謀遠慮」の甲斐は十分にあった。
~終わり~
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