安い賃金でこき使える外国人労働者の受け入れ数拡大に向けた入管法改正案。安倍首相は13日の衆院本会議で「受け入れ数の上限を設ける」とする趣旨の答弁をした。これを受けて各紙は14日朝刊の1面トップで「外国人材、首相『受け入れ上限』」の見出しを躍らせた。テレビはいち早く大きく伝えた。
ところが実際の受け入れ数は、法案が成立した後、運用で決めることが分かった。14日あった野党合同ヒアリングで法務省出入国管理局が明らかにした。
法律で縛るのではなく役所の運用、つまり官邸の意向でいくらでも増やせるのである。誰も歯止めをかけることができなくなるのである。安倍首相の答弁はウソだったことになる。
政府は対象となる業種を、介護、ビルクリーニング業、産業機械製造業(メーカー)、農業など14業種としている。だが、これらも法案成立後、役所の運用で決まることが明らかにされた。
政府が「(受け入れ拡大に)含めない」とする単純労働について、野党議員が「単純労働の定義」を求めたが、法務省は答えなかった。
海外から連れて来た労働者を、最低賃金以下で長時間働かせる。「時給300円」「早朝から深夜まで」「作業中、指を切断しても治療費は自分持ち」・・・技能実習とは、制度化された残酷労働だが、経済界にとっては、涙が出るほど有難い制度だ。
安倍政権が来年4月から実施を目指す外国人労働者の受け入れ拡大(入管法改正)とは、奴隷を際限なく、海外から連れてくる制度を作ることなのである。
各業界が受け入れ拡大を目指す外国人労働者のうち、技能実習生の占める割合が多いことに驚く。
「造船=70%」「産業機械製造業=ほとんど(100%に近い)」「建設=40%」「農業=35%」・・・経産省、国土交通省、農水省が野党議員の質問に答えた。
テレビニュースは農家で働く技能実習生に焦点を当てるが、外国人労働者を当て込んでいるのは、自動車産業、電機産業、造船業、つまり経団連なのである。安倍政権が法案成立にシャカリキになる理由が分かる。
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