【続報】脱原発テント、未明に強制撤去 「外に出たらマスコミがいた」

ガードマンが周囲を固めるなか、建設作業員がテントを解体していった。=21日午前4時52分、経産省前 撮影:筆者=

ガードマンが周囲を固めるなか、建設作業員がテントを解体していった。=21日午前4時52分、経産省前 撮影:筆者=

 原子力ムラの総本山とも言える経産省の一角に立っていた「脱原発テント」が、きょう未明、強制撤去された。

 テント宿直の男性(40代)によると午前3時40分頃、東京地裁の執行官がテントを予告なしに訪れ、紙きれを見せた。当時テントには5人の宿直者がいた。

 執行官は「今いる方、私物を持って出て下さい。10分ほどありますから」と告げた。

 テント宿直者たちが外に出るとガードマン30人余りが周囲を取り囲んでいた。制服警察官約20人は遠巻きにした。

 権力はマスコミを引き連れていた。警視庁記者クラブあるいは司法記者クラブへのリークであることは明らかだ。

 連れて来てもらったことへの恩返しなのか。マスコミは道路の中央分離帯から望遠レンズで撮影した。新聞テレビは政府と原子力ムラの広報機関であることが改めて明らかになった。

 東京地裁の執行官はテントの周囲を鉄柵で囲い、その内側にガードマンをびっしりと配備した。経産省前の歩道もガードマンで封鎖した。

 田中が鉄柵(テントまで約3m)に張り付いて撮影していると、執行官は5~6人がかりで暴力的に排除してきた。

 「天下の公道上なのに撮影できないのはおかしいではないか?」「執行中ですからお見せできません」・・・田中が撮影しようとすると執行官たちは手を広げて視界を遮った。

 押し問答が30分近く続いたところで警察のお出ましとなり、田中は道路の対岸に持って行かれた。

 着手から1時間もすると3張のテントは跡形もなくなった。テントの遺留品を詰めた段ボール箱がトラックまで次々とバケツリレーされていった。

「撮影はできません」。東京地裁の執行官は田中をカメラごと小突いて、現場から押し出そうとした。=21日午前4時57分、経産省前 撮影:筆者=

「撮影はできません」。東京地裁の執行官は田中をカメラごと小突いて、現場から押し出そうとした。=21日午前4時57分、経産省前 撮影:筆者=

 さらに30分後には ほうき でテント跡の地面を掃く光景も見られた。

 テントの宿直者たちは道路の対岸で強制撤去を見守った。「テント来訪者名簿」「日付のプラカード」「ツイキャス中継器材」などは持ち出した。田中がテントに忘れていたICレコーダーも奇跡的に含まれていた。

 国が強制撤去の日取りを日曜未明にしたのには思惑があった。2012年1月、時の民主党政権がテントを撤去しようとしたことがあった。

 ところが撤去期限の1月27日夕方、500人を超す市民が駆けつけてテントを守ったのだった。

 地下鉄も動かず、普通の人々がまだスヤスヤと眠っている午前3時30分であれば、思い通りにテントを始末できる ― 権力はこう考えたのであろう。

 原発事故が起きた2011年の9月11日、有志によって張られたテントは間もなく6年目を迎えるはずだった。

 テントの玄関を飾っていた「設置・1807日目」のプラカードは強制撤去で持って行かれた。

 テントの立ち退きを命じる裁判の判決が確定したのは7月28日。1ヵ月を待たずして判決の強制執行となった。

 沖縄・高江では7月22日、本土の機動隊500人が加勢して基地建設反対派のテントを強制撤去した。

 安倍政権は「やる」と言ったら、どんな強権的な手段を用いてでも実行する。

間もなくテントは跡形もなくなった。田中が強制撤去を撮影していると東京地裁の執行官たちが駆け寄ってきた。=21日午前5時01分、経産省前 撮影:筆者=

間もなくテントは跡形もなくなった。田中が強制撤去を撮影していると東京地裁の執行官たちが駆け寄ってきた。=21日午前5時01分、経産省前 撮影:筆者=

   ~終わり~

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