「緩やかに過ぎ、合理性を欠く」。福井地裁から真っ向否定された原子力規制委員会の規制基準。
一夜明けたきょう、田中俊一委員長は定例記者会見に臨み、「規制基準を見直す考えはない」「(裁判所の決定には)事実誤認がある」と話した。
『週刊金曜日』が「ユルユルな基準でドンドン再稼働が止められる事態になっても(基準を)見直さないのか?」と質問した。
田中委員長は「見直す考えはない。かりにそうなった場合(あちこちの裁判所で再稼働を止める判決、決定が出た場合)、社会的に考えることはあるかもしれないが、今ただちに変えようとは思わない」と答えた。
筆者は「規制委員会の基準は(福井地裁の決定によって)科学的に否定されていますよね」と尋ねた。
田中委員長は「(福井地裁の決定には)事実誤認がある」と答えた。
フリーランスの上出義樹記者が「事実誤認とはどの箇所か?」と畳みかけると、田中委員長は「給水施設、外部電源・・・」と幾つか挙げた。
厳しく追及したのは『週刊金曜日』とフリーランスくらいだった。
某テレビ局の記者は業界の立場を慮る質問をした―
「規制基準を一生懸命守ってクリアした事業者、関西電力の立場に立ってみれば再稼働のスイッチを押せないことになった」「ハシゴが外されてしまうと、業界としては今後何を守っても再稼働できないとすれば、彼ら(業界)はどうすればよいのか?」と。
きょうの記者会見で、田中委員長はいつものように「世界最高レベルの安全基準」と自信を示した。
「(福井地裁の決定は)行政やその他の手続きに差し障りがあるものではない」「粛々と進める」などとも述べた。
監視役のトップである原子力規制委員長がユルユルの規制に満足しているようでは、「安全神話・第二幕」が開きそうだ。
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