
病院の玄関前を狙えば医師とジャーナリストの両方を殺害できる。効率的といえば効率的だ。(写真はナセル病院ではありません)=ガザ、撮影:田中龍作=
戦地にあって地下のシェルターからリポートする日本の TV局記者と違って、パレスチナのジャーナリストたちは現場に飛び込んで行く。そこが爆心地であろうとも。
前回(2014年)のガザ戦争でこんなことがあった―
小学校が爆撃され死者が出た。一緒に取材していたパレスチナ人記者のムハンマッドは現場に着くと、血の海を撮影しようとそこに突っ込んで行った。
ドローンのつんざくようなエンジン音が響いた。運転中の草刈り機が耳元にあるようだった。
ドローンはヒットする前、狙いを正確にするため高度を下げる。エンジン音が物凄くうるさくなる。
今回(25日)、ナセル病院を攻撃したのと同様イスラエル軍のダブルタップだった。
被害者を救出するため現場に来たパレスチナ人をヒットするのだ。効率を重んじるユダヤ人らしい攻撃手法である。

病院の玄関前はプレスセンターとなっていて、ジャーナリストで一杯だ。イスラエル軍はそれを知らぬはずがない。(写真はナセル病院ではありません)。
=ガザ、撮影:田中龍作=
そこに突っ込めばドローンの餌食になるのは目に見えている。「Withdrow=撤退だ」。田中はムハンマッド記者の手を引っ張って思い留まらせた。
田中がプレスゼッケンを着けていなかったら、イスラエル軍に携帯電話の番号を教えていなかったら、2人ともヒットされていただろう。
海外のジャーナリストは使命感として遺体を確かめに行く。そこをイスラエル軍が狙う。
今回(25日)爆撃されたナセル病院の瓦礫からキャノンのプロ仕様カメラが見つかった。
イスラエル軍のジャーナリスト皆殺しモードを象徴しているようだ。
~終わり~
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