15日、ガザ保健省はイスラエル軍に殺害された住民は4万人を超えた、と発表した。うち1万6456人が子供で、1万1千人が女性。
さらには1万人が行方不明になっており、がれきの下で生き埋めになっているものと見られている。
死者4万人は単なる通過点だ。死者は5万人、6万人・・・10万人と限りなく増えて行くだろう。
ネタニヤフ首相が「ハマス全滅」を掲げているからだ。結論から言うと全滅は無理だ。
ハマスを全滅させるには①ガザ住民を全員殺して、②ガザ地区の地面をくまなく掘り起こさねばならない。
①は可能でも、②は物理的に不可能だ。イスラエル軍が考えているようにハマスの軍事施設は学校、病院、民間の建物の地下だけではないのだ。
②から先に説明しようー
田中は空き地の草むらからハマスのロケットがイスラエルに向けて飛んで行くのに、居合わせたことがある。
ガザの東部は広大な畑だ。対戦車地雷も埋められている。イスラエル軍といえども広大な畑とすべての空き地を潰すのは不可能である。
①はこうだ―
ゲリラ戦の常として、ゲリラは人民の海に隠れる。ゲリラの活動を封じるには、人民の海をなくしてしまう他ない。
それは何を意味するか…。イスラエルであれば、やってのけるかもしれないが。
第2次世界大戦中、ナチスドイツがユダヤ人をガス室送りにしたが、それを凌ぐ地獄絵が展開されることになる。
イスラエル軍も薄々それを認めている。ガザ境界のイスラエル軍基地で記者会見があった。昨年11月末のことだ。ガザ北部の要衝ベイトハヌーンを制圧したかのように軍が喧伝していた頃だった。
田中は報道担当の将校に「イスラエル軍はベイトハヌーンのハマス関連施設を完璧に破壊したのか?」と質問した。
将校は苦虫をかみつぶしたような顔でしばし田中を見つめた。10秒くらいの沈黙の後「難しい質問だ」とつぶやくのだった。
ガザ住民はイスラエル軍から、きょうは「北へ行け」、あすは「南へ行け」と命令される。この繰り返しだ。
イスラエル軍は住民を移動させた後で猛爆撃を加えるのだが、同じ地区を何度も何度も繰り返している。
「モグラ叩き」さながらだ。これこそネタニヤフ首相が続けたい永久運動なのであろうか。
~ ~
田中はきょう(16日Friday)も街頭に出る。台風による大雨でもJRガード下で決行する。
『田中龍作ジャーナル』は読者の皆様に支えられて続いてきました。