大手百貨店のそごう・西武の労働組合が、31日、ストに突入する予定だ。
親会社セブン&アイ・ホールディングスが、そごう・西武百貨店を米投資ファンドのフォートレス・インベストメント・グループに売却することへの対抗措置である。
経営側のそごう・西武は、同日、池袋本店を臨時休業する。
大手百貨店でのストは61年ぶりというが、連合(1989年結成)が労働界を束ねるようになってから、ストはめっきり減った。
ストは憲法28条が保障する「労働3権」の一つであるのにもかかわらず、だ。
ストは経営側も労働側もシンドイ。経営側は売上げが減り、労働側は賃金を削られる。ストは数日続いたり、波状的に打たれたりした。先にネをあげた方が負けだ。
連合出現前の労働組合は、歯を食いしばってストを打ち要求を勝ち取っていった。自分たちだけのためでなく労働者階級ひいては庶民の生活向上に資するからだ。
ストがなくなれば、経営側の思うままである。こうして派遣労働は次々に拡大されていった。
労働組合がストを打ち闘っていた頃、派遣は特殊技能であるピアノの調律師や同時通訳などに限られていた。
物価上昇に見合う賃上げが主要な闘争テーマだった。
労働組合がストで闘っていた頃は終身雇用が当たり前だった。
労働組合が闘わなくなり、派遣はほぼ全面的に拡大された。物価上昇に賃上げは追いつかない。その結果、この国は貧しくなった。
ストは労働運動の象徴である。ストを打たない労働組合は、経営側にとって怖くも何ともない。
闘わない労働組合が支える野党は、当然のごとく国会で闘わない。闘う労働組合に戻らない限り、経団連が支える自民党の天国が続く。
~終わり~
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