ある夜、裁判に詳しい知人から電話があった。
「あす、元TBSの山口(敬之)氏が伊藤詩織さんの件で名誉棄損の訴訟を起こすそう。●●さん、■■さんら数人が訴えられる。幸い龍作さんの名前は入っていなかったけど、第2陣(訴訟)があるかもしれないから、くれぐれも気を付けてね」と。
数人の中には歯に衣着せぬ発言でお馴染みの大石あきこ衆院議員(れいわ)が入っていた。
山口敬之氏が大石あきこ氏を名誉棄損で訴えたのは以下のツイートである。
①元TBS記者で安倍総理の御用、山口敬之氏。伊藤詩織さんに対して計画的な強姦をおこなった。(ツイート全文は写真参照)
②1億円超のスラップ訴訟を伊藤さんに仕掛けた。とことんまで人を暴力で屈服させようという思い上がったクソ野郎。(ツイート全文は写真参照)
原告山口氏は被告大石氏に対して損害賠償880万円の支払いとツイートの削除を求めた。提訴は2022年7月26日。
大石氏がツイートを投稿したのは2019年12月19日。東京地裁が山口氏による伊藤さんへの性加害を認める判決を言い渡した翌日である。この時点で大石氏はまだ私人であった。
山口氏が大石氏のツイートをめぐって訴えていた訴訟の判決が、きょう18日、以下のように言い渡された。
ツイート①については、公正な論評であって違法性はない。
ツイート②のうち前段の「1億円超のスラップ訴訟を伊藤さんに仕掛けた」は真実であり公共性、公益性が認められる。
後段の「クソ野郎」は「とことんまで人を暴力で屈服させようという思い上がった」という表現とあいまって原告に対する人身攻撃に及んでいる。相当なものとは言い難い。
以上の理由で東京地裁(荒谷謙介裁判長)は、大石氏に対して、損害賠償22万円の支払いとツイート②の削除を命じた。
「クソ野郎」の4文字さえなければ、大石氏は全面勝訴だった可能性が高い。代理人である佃克彦弁護士は「95%勝訴」と胸を張った。
大石氏は削除命令には応じられないとして控訴する方針だ。
大量に拡散されるSNSは言葉の隅々にまで注意を払わなくてはならない。冒頭の知人から忠告を受けた後、臆病者の田中はすぐにヤバイ表現を無難な表現に変えた。
今回の判決は毒舌で鳴る御仁には大いに参考になることだろう。
~終わり~
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