某出版社から「適格請求書の問い合わせ書類」が届いた。郵便受けにあった封書には『インボイス制度関係書類在中』とある。
まるで脅迫状のようであった。20数ケタに及ぶ田中のコード番号がすでに振られていた。
インボイス登録番号取得の有無を聞かれ、登録する意志があれば、登録予定日まで記入するようになっていた。
田中は登録する意志なんぞないので無視して返事はしないことにした。
インボイス登録しなければ出版社の仕事はできなくなる。多い時は年間100万円を超える写真代、コメント料が入ってこなくなるのだ。
かといってインボイス登録すれば、弱い者いじめでしかない制度を認めることになる。
インボイス制度を潰すには登録しないこと、あるいは登録を解除する他ない。
目先のお金欲しさでフリーランスの仲間を死滅させるような制度には加担したくない。
ウクライナ兵は田中が日本人と分かると「オー!クロサワ、ハヤオ・ミヤザキ」と叫んでハグしてきた。キーウには宮崎作品専門の映画館もあった。
フリーランスのアニメーターや声優はただでさえ低所得だ。青息吐息で暮らす職人たちに課税しようというのがインボイスだ。
国際的にも評価の高い日本アニメ。その底辺を支えるフリーランスのアニメーターと声優を廃業に追い込めば、日本アニメも滅びる。
岸田さん。カネをバラ撒いても日本の政治家は海外で尊敬されてないけど、日本の文化は尊敬されているんだよ。
~終わり~
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