日本という国の破壊が目も止まらぬほどの速さで進む。社会の常識に連日、死刑宣告が下されているのだ。
60年を過ぎた原子炉の使用を可能にする原発GX法案が31日、可決成立した。
40年でも老朽原子炉と言われ劣化の危険性が指摘されるのに、それを20年上回っても運転し続けるのである。自殺行為以外の何ものでもない。
12年前に福島で経験した過酷事故の経験は一体何だったのか。「歴史に学ばない民族は滅びる」と云われるが、この国はその道を着実にたどっているようだ。
来る日も来る日も脱原発運動に携わってきた男性(60代)は「10年間取り組んできたことが全部ひっくり返されちゃったよ」と絶望しきった表情で語った。
この日(31日)はマイナンバーカード法案が参院の委員会で採決された。紙の保険証を廃止して、医療以外の数々のデータも入ったマイナンバーカードと一体化しようというのである。
保団連(全国保険医団体連合会)によると有資格なのに無資格と出たケースが968件あった(5月31日現在)。
うち394件(394人)が10割自己負担となった。高額な医療費を払えない貧乏人は、医療につながることができない。最悪の場合、命を落とすことになる。
きょう1日は入管法改悪法案だった。自民党は参院法務委員会での採決を目指していたが、野党から委員長解任動議を出され、採決は不可能となった。
難民認定申請者に対する聞き取り調査がデタラメこのうえないことが判明し、法務大臣もそれを認めたのである。
「人道上保護すべき難民はいない」という立法事実が崩れたのである。
それでも立法しようというのが自民党だ。きょう1日の委員会採決は委員長解任動議でやむなく見送られたが、野党側の打つ手は限られており、入管法改悪法案が来週中にも可決成立する見通しである。
どんな法案でも出せば通る。それが日本の国会だ。
『与党も野党も茶番』。くしぶち万里(れいわ)議員が本会議場でプラカード(紙)をかざしたところ、衆議院で懲罰を科せられた。お行儀に問題があったとはいえ、くしぶち議員は事実をありのままに言っただけだ。
山本太郎代表はきょう1日、くしぶち議員らと共に記者会見を開き次のように語った。
「悪いのは自民党だと言いながら、それをアシストし続けてきたのが野党。法案審査が始まってしまったら採決まで行くのは当然だ。俺たち数が少ないんだから(という理由で)。品位のない自民党と諦めの野党がこの国を壊してきた」。
~終わり~
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