強制送還を拒否する外国人を入管職員が拷問に掛ける映像が、大橋毅弁護士から記者団に提供された。同弁護士が入管に開示請求をかけ、裁判所が証拠保全命令を出したのである。
最初から犯罪者扱いである。戦前戦中に思想犯と疑いを持たれれば治安維持法違反で逮捕され、過酷な取り調べを受けた。作家の小林多喜二のように殺されるまで殴られた例も少なくない。
難民認定申請者も同様である。申請者をなかなか難民と認定しない審査員※に審査が極端に偏っていたことが明らかになっている。(入管行政では『参与』と呼ぶ)
それもそのはず。出入国在留管理庁が強制送還のノルマを課していたことが、『赤旗』の調べで分かった。2022年度の目標は456件だった。2021年4月~22年の送還実績は147件。
強制送還を拒否すれば送還忌避者として惨い扱いを受ける。本稿に添付した拷問の画像が格好の例だ。人権などあったものではない。
当然のように人命は軽視される。1月、大阪入管で女性医師が酒に酩酊した状態で診察していた。医師は診察した難民申請者に対して間違った薬を処方したうえ暴言を吐いていた。
齋藤法務大臣は2月下旬にこの事実を知りながら3月7日に入管難民法の改革法案を提出していたのである。
酩酊した状態で診察した1月20日以降、同医師は一度も勤務していない。
にもかかわらず毎月70~80万円の報酬と6月1日には240万円のボーナスが支払われていた。
さらに呆れるのは―
大阪入管は欠員により常勤の医師はゼロ人であるのにもかかわらず、出入国在留管理庁は国会で1名と答弁していた。それも書類を添えて。明らかな虚偽答弁である。
恣意的な身柄拘束と人命・人権無視の処遇。前身は共に内務省とはいえ、戦前戦中の特高警察と戦後の入管は何ら変わるところがない。
~終わり~
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