2日午前4時(現地時間)、イスラエル軍の車両数台がウエストバンクの中心都市ラマッラーに侵攻してきた。
投宿先のホテルの部屋から、カーキ色の軍用車両が、我が物顔でパレスチナの市街地を走るのを目視した。
田中はツイッターで速報を入れると、タクシーを呼び、イスラエル軍車両の後を追った。ホテルよりもさらに中心部に現場はあった。東京で言えば文京区あたりだろうか。
若者たち20人余りが集まっていた。そこから40mほど先に行った交差点を右折した所にある建物をイスラエル軍は急襲しているようだ。
急襲現場の確認に田中が交差点の方に行こうとすると、少年たちが「デインジャラス、デインジャラス」と叫んで引き留めた。だが「テイクフォト(写真を撮るんだ)」と言って彼らを振り切った。
イスラエル軍はいた。交差点から30mほど先の建物の前にヘッドライトを着けたままの軍用車両が留まっていた。
カメラの連続シャッターを1回切ったところで、イスラエル軍は強烈なサーチライトを浴びせてきた。そして威嚇射撃があった。
田中はすぐにその場を離れ、イスラエル軍の死角にあたる所まで逃げた。
夜が明けるまで待ちたかったが、タクシーの運転手が半狂乱になって「ホテルに帰る」と言って譲らなかった。
ホテルまで帰る足は他にない。第一報を入れる方が先である。田中は現場を離れた。
~終わり~