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ロシア兵の首つり人形が風に揺れていた。憎しみを象徴しているようだった。=13日、モシュヌ村 撮影:田中龍作=
開戦から49日目、4月15日。
キーウ北西近郊のモシュヌ村(開戦前の人口約200人)は森に囲まれた静かな別荘地だ。
キーウまでの直線距離は25㎞。ロシア軍が誇る自走砲「2S19」の射程距離(29㎞)に入る。
ノドから手が出るほどモシュヌ村がほしいロシア軍。首都を落とされないために何としても守りたいウクライナ軍。
村をめぐる攻防は熾烈を極めた。どちらかが村を取っても翌日は押し返された。
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村を捜索するウクライナ軍。=13日、モシュヌ村 撮影:田中龍作=
家屋はことごとく破壊されていた。住民の死者は15~20人と見られている。飼い主をなくした犬の遠吠えが人気のない村に響く。
村の入り口にはロシア兵の首つり人形が木に吊るされていて、風に揺れていた。
村は今なお立ち入り禁止区域だ。他の激戦地には住民が戻り始め、生活の音が聞こえてくるようになったが、モシュヌ村はゴーストタウンのままである。
田中は例外として立ち入りを許されたが、「写真公開は2日後」とする縛りがかかった。
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豚と見られる家畜の頭部。首を切断されていた村人の家の前に置かれていた。=13日、モシュヌ村 撮影:田中龍作=
生存者はいないか、不発弾は残っていないか。ウクライナ軍は一戸一戸を調べて歩いた。
破壊の惨状は他の激戦地と同様だが、ある家の前に差し掛かると、切断された豚の頭部が無造作に置かれていた。
家の中に立ち入ることはできないが、血塗られた部屋が垣間見えた。
同行した軍の兵士によれば、つい数日前、この家で頭部を切断された遺体を見つけた。遺体の傍らには血だらけの刀があったという。ナイフではない。遺体は4日前に発見したという。
この家ではシッポを切られた猫の死体も見つかっている。猟奇的とさえ言える残虐さだ。
解放された地域で次々と明らかになるロシア軍の蛮行。立証されれば人道に反する罪でICC・国際刑事裁判所に訴追されるだろう。
法廷がいくつあっても足りない。あまりに大がかりな人道犯罪である。
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飛び散った血が部屋の壁にべっとりと付着していた。=13日、モシュヌ村 撮影:田中龍作=
~終わり~
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