開戦から47日目、4月13日。
ICC・国際刑事裁判所のカリム・アフマド・カーン検事率いる調査団が、ブチャに入った。聖アンドリュー教会のマスグレーブを実況検分し、遺族や神父から事情を聞いた。
フランスの専門家チームが遺体の検分などにあたる。
調査団はこれから目撃住民、マスグレーブを自らの手で掘ったアンドレイ神父、遺体を回収したレスキュー隊の証言を集める。
専門家チームは遺体を法医学鑑定し、被害者、致命傷などを特定する。
「Aさんは後ろ手にされ頭をロシア軍に撃ち抜かれた」とする遺族や目撃住民の証言がこれから出てくるだろう。
後ろ手にされていて頭を撃ちぬかれていた遺体がDNA鑑定の結果、Aさんと判明する。
証言と物的証拠が一致するのである。こうしたケースは遺体の分だけ出てくるだろう。
田中は実況見分を終えたカーン検事(英国人)に「ロシア側はマスグレーブをフェイクだと言い募っているが」と質問した。
カーン検事は「遺体を検分し証言と照らし合わせれば、おのずと明らかになる。法廷が戦争犯罪を裁くだろう」と答えた。
BBCの記者が「これはジェノサイドか?」と聞いた。検事は田中に対してのコメントと同様に答えた。
田中の取材によるとアンドレイ神父と目撃住民の話は符合する。これに遺体という物証が加わり、自ら現地調査に乗り出したICC・国際刑事裁判所の検事が訴追する。
ロシア軍の戦争犯罪は立証に向けて大きく動き出した。
~終わり~
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カードをこすりまくっての現地取材です。
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