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大勢の支持者を前に演説するポロシェンコ前大統領。=17日、キエフ市・ペチェルスキー地裁前 撮影:田中龍作=
国家反逆罪に問われているポロシェンコ前大統領が、ポーランドから17日朝(日本時間:同日午後)、帰国。裁判所(ぺチェルスキー地裁)に出廷した。
前大統領は収監されるとの見方もあり予断を許さない事態となっている。
キエフ市の中心部にあるペチェルスキー地裁前は大勢の支持者で溢れかえり、前大統領の政党である「欧州連帯」の旗が林立した。
ポロシェンコ氏は、出迎えた大勢の支持者を前に演説した―
「ゼレンスキー(現大統領)はヤヌコビッチ(元大統領)と同じように独裁だ」「我々はゼレンスキー政権と戦う」。
ゼレンスキー現大統領は親欧米派だが、身内に親露派を抱える。政治経験に乏しい現大統領は奸言に左右されやすいと見る向きもある。
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ポロシェンコ氏の政党「欧州連帯」とウクライナ国旗が林立し、「ポロシェンコ」コールが響いた。=17日、ペチェルスキー地裁前 撮影:田中龍作=
現政権はキエフ空港に到着したポロシェンコ大統領の入国を阻もうとしたフシがある。
パスポートを見せても入国管理官から「あなたは本当にポロシェンコか?と詰問された」というのだ。
ジャーナリストや大臣が一緒にいなかったら入国を拒否されていただろう。
前大統領がこの先逮捕、収監されるようなことになれば、大がかりなデモが起き、動乱に発展する可能性がある。
ポロシェンコ前大統領は、石炭をドンバスの親露勢力から入手したとして起訴されていた。
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「ウクライナにはポロシェンコという火薬が必要」。政権転覆を呼びかける横断幕。=17日、ペチェルスキー地裁前 撮影:田中龍作=
2014年の政変を思い出す。米国の支援を受けた市民たちが親露派の大統領を追放した。ここまではよくある事件だが、直後にロシアはクリミア半島に電撃侵攻し、一ヶ月あまりでクリミアを陥れたのである。
前大統領が逮捕されるようなことになれば国家は大きく動揺する。なぜ今、ポロシェンコ氏の裁判なのか。不可解である。
虎視眈々と獲物を狙うプーチン大統領が、不敵な笑みを浮かべていることだけは確かだ。
(※)
ヤヌコビッチ元大統領。2014年、米国の援助を受けた市民革命で追放された親露派大統領。
~終わり~