毎日のように有楽町駅前で開かれている小川淳也の青空対話集会が人気だ。
対話が終わると小川は聴衆の中に入って行く。女性たちが小川を取り囲み、ペタペタと腕や肩を触る光景が見られた。「触った、触った」と喜びながら。
人気の理由を聞くと「清潔感」という答えが返ってくる。ある女性は「純粋過ぎて心配っ」と言って気を揉んだ。
人気は党内の誰にも負けない小川なのだが、ネット上では「立憲の小泉進次郎」と揶揄されることもある。
立憲に対して民主党時代から助言を続けてきた、元特捜検事の郷原信郎弁護士は25日、有楽町に足を運んだ。対話集会に臨む小川に託したいことがあったためだ―
それは先の横浜市長選挙をめぐる立憲の対応だ。立憲が推した山中竹春候補は、菅首相の失政を受けて大勝した。
だが候補者選考過程の不透明さやパワハラ問題などが指摘され、落選運動まで起きた。当選後、混乱の舞台は市議会へと移った。
横浜市長選告示前日の8月7日、小川は山中候補の応援に入り、次のように演説していた。
「選挙に出るということは、いろんな批判を一身に受けることを覚悟するということでもある・・・(中略)心当たりがあることには市長になられた後もきちんと認め、謝罪をし、反省し、総括する」。
郷原は横浜市長選への立憲民主党の対応を問う公開質問状を出していたこともあり、小川の演説に着目していた。25日、郷原が小川の対話集会に出かけたのは、立憲の製造物責任を問うためだった。
だが、郷原はその場で小川の回答を求めなかった。その夜、問題の横浜で代表選出馬候補の記者会見が予定されていたからだ。
郷原が「横浜の現状を見て下さい。横浜で答えて下さい」と言うと、小川は「はい、分かりました」と応じた。
それから8時間あまり後、横浜市内のホテルで記者会見があった。
フリージャーナリストが「政権与党には厳しいあなた方ですが、自分の応援した市長のウソやパワハラをどう思うか?」と単刀直入に問うた。
小川は「その(市長選)後のことを私の立場から言うことは差し控えさせて頂きたい」とかわした。
郷原は小川の上記回答に失望を隠さなかった。田中の電話取材に次のように答えた。
「山中市政について言及してほしいのではない。(私は)立憲の選挙対応を問うているのだ。あなたたち(立憲)の問題でしょ。検証と反省をしないと代表選をしても出直しにならない」と。
郷原は少なくとも25日までは小川に期待していた。
立憲の小泉進次郎とならないためにも、発言には責任を持ってほしいものだ。
(文中敬称略)
~終わり~