南北に細長いガザを貫く幹線道路のサラハディーン通り。
サラハディーン通りの最北端から少し手前の街、ベイトラフィーヤは、イスラエルが目と鼻の先にある。前回(2014年)の戦争中、住民は避難し、ひとっこ一人いないゴーストタウンとなっていた。
ここで取材車を降りた時、同行のパレスチナ人記者A氏に「ここから(南端の)ラファまで距離はどれくらいあるのか?」と尋ねた。
A氏は計算をしている様子だったが、間もなく「42㎞くらいかな」と答えた。
全長が45㎞であることは後になって知る。
田中が「マラソンができるじゃないか」と声をあげると、A氏はニンマリと笑った。「我が意を得たり」というには淋しい表情だったが、満足そうな笑顔だった。
IOCのバッハ会長らが「オリンピックは平和の祭典」と言い張るのであれば、イスラエルとパレスチナ自治区で五輪を開催し、マラソンはガザで行えばよい。
W杯サッカーの日韓共同開催(2002年)もあった。決して無理筋ではないのだ。
オリンピックでなくても「平和マラソン」(仮称)というのもありだ。戦争中に開くともっといい。
選手が走っている間、イスラエルもハマスも砲撃を控える・・・これがルールだ。
マラソン大会が開かれれば、ガザの北端と南端を結ぶサラハディーン通りの沿線が世界に晒される。天井のない監獄の有様をとくと御覧頂こうではないか。
平和の尊さを世界に知らせるまたとない機会になるだろう。
~終わり~
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