『内閣官房も認めるウソ「東京、大阪で1日1万人の大規模接種」』。拙稿(26日付)で大規模接種をウソと書いたが、ウソの方がよっぽど良かった。
政府はドロ縄で大規模接種を実施する方針のようだ。見切り発車などという甘いものではない。
野党は、きょう28日の対政府ヒアリングで、防衛省から事情を聴いた。政府が大規模接種に自衛隊の医務官や看護官を活用するとしているからだ。
防衛省統合幕僚監部は正直に説明した。
「いま地方の部隊に何名くらい出せるのか、問い合わせをかけている」「自衛隊中央病院から医官、看護官は出さない」。
自衛隊は出せる医官と看護官の人数で対応することが分かった。1日1万人は政府の「絵に描いた餅」に過ぎない。自衛隊をもってしても不可能なのである。
東京、埼玉、千葉、神奈川の高齢者を対象に1日1万人をワクチン接種しようとすれば、混乱は必至だ。
これまで接種業務は自治体が担ってきた。今度はそれに国が加わることになる。2系統になることで混乱が起きる恐れが多分にある。
東京・大阪の大規模会場と地元自治体の会場が混在する。ワクチンも自治体はファイザー社製で、国はモデルナ社製である。
スガ政権はとにかく数字を出したいだけだ。付け焼刃にもなりはしない。
国民の怒りを買っているのが、医療体制がひっぱくする中、五輪パラ組織委が病院や看護師に協力を要請していることだ。
野党側は、オリパラ組織委が確保しようとしているアスリートなどの入院先となる病院の箇所数と病床数、を質した。
内閣官房オリパラ推進本部は、都内10ヵ所、都外20ヵ所の病院の確保を念頭に置いている、と答えた。
長妻昭議員(立憲)が聞いた。「何病床空けておくのか?」「(病院の全病床を)マルマル開けといてくれという可能性はあるのか?」と。
全床開けたりすれば、コロナの重症患者、中等症患者は行き場を失い、見殺しにされるからだ。
内閣官房は「マルマル開けろとは聞いていない。病院と組織委との間で、どの程度協力できるのか、調整中」とかわした。
原口一博議員が見逃さなかった。「(五輪開幕まで)90日を切っているところで、どこにどれくらい受け入れるか、政府として知らないということでよろしいですね」
「(医療体制の逼迫で)救える命も救えなくなっている。医療機関の余裕はない」。
オリパラ組織委とスガ政権は出来もしないことを次々と打ち出す。狂気の沙汰である。
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野党合同による対政府ヒアリングURL
https://youtu.be/nbPt3NrCrjA
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