生活保護は水際で追い返される。かりに受給できるようになったとしても、現金を手にするまでは日数がかかる。
食えなくなっている人に今すぐリーチできる食料配布が、全国津々浦々で展開されている。法律相談がセットになっているのが特徴だ。スガ総理の言う公助の適用を受けられるように、民がアドバイスするのである。
民青同盟、NPO、地元有志・・・主催者はさまざまだ。
きょう田中は、東京下町の食料配布と法律相談を取材した。
錦糸町(江東区)の駅前では民青同盟の若者たちがテーブルの上にコメ、さつまいも、カップヌードル、缶詰などを並べた。食料はカンパで仕入れた。さつまいもは千葉の農家からの寄付だ。
カップヌードルを受け取り、ショルダーバッグに入れる男性(67歳)がいた。「年金はもらっていない」と話す。詳しいことは聞けなかったが、無年金者だろうか。
勤めていた飲食店が、緊急事態宣言を受けて休業しているため、生活が苦しいという。
映画「男はつらいよ」でおなじみの柴又がある葛飾区。日本を代表する下町でも食料配布と法律相談があった。主催者は「貧困なくそう葛飾・江戸川」だ。
こちらは冬物衣料も並んだ。スタッフの一人が、自分の住んでいるマンションの一戸一戸を訪ねて寄付してもらったという。
年金生活者という男性(70代)は缶詰2カンだけを受け取り、主催者が用意した紙袋に入れた。
「今晩の食事はこれだけ」と言い残して去って行った。
下町は地付きの人が比較的多い。「困った時はお互いさま」の精神がまだまだあるのだろうか。
学生の街高田馬場や新しい住民が多い高円寺などと比べると、足を止める人が少なかった。
近所の目があると食料を貰いづらいのか。下町の食料配布ではためらいが感じられた。
食べて行けないのは自己責任ではない。自己責任であるかのように刷り込んだ政治に責任がある。
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