生活困窮者に暖かい食事を提供する年越し大人食堂(主催:反貧困ネットワークなど)は、きょう(3日)も開店前から長蛇の列ができた。
高齢者が目につく。年金だけでは食べてゆけないのだろう。路上生活者と見られる人も少なくなかった。肌や髪の毛の灼け方でわかる。
1都3県(神奈川、千葉、埼玉)の知事が昨日、政府に緊急事態宣言の発令を要請した。
政府は慎重な姿勢を崩していない。だが、もし緊急事態宣言が発令されれば、真っ先に割を食うのが生活困窮者だ。
まず炊き出しが減る。規制の対象とはならないが、密集を恐れて主催者が自粛するのだ。実際、前回の緊急事態宣言(4月7日~5月25日)では炊き出しを控える団体が目についた。
炊き出しは「●曜日=●●公園、●曜日=●●教会」などと決まっていて、生活困窮者はあてにしているのだが、その一部を失うことになる。食いつないで行けなくなるのだ。
前回は図書館が閉鎖された。図書館に行けば滞在時間の分、光熱費を使わないで済む。「酷暑や厳寒から生き延びるため図書館に避難する」と言っても何ら差し支えない。
図書館閉鎖は生活困窮者の避難場所を奪うのである。
スーパーの営業時間が短縮されれば仕入れが減る→安売りに回される品が減る。
飲食店が時短すれば、その分仕事がなくなる。労働者は収入が減るのだ。
思いつくまま挙げただけでも、これだけある。緊急事態宣言が生活困窮者に与える影響は大きい。
田中は「緊急事態宣言を出すな」と言っているのではない。逼迫する医療現場を考えれば出した方がいい。
政府は「経済」と言うなら生活者の暮らしも考えろと言いたいのだ。自粛を要請するにしても貧困層に打撃が行かないような工夫が必要だ。
「弱者に冷たい政治」が自分には関係ない、と思っていたら、とんでもない間違いだ。弱者に冷たい政治は上級国民以外を皆、貧しくする。
派遣を全面解禁し労働者を奴隷に等しい状態に陥れた「小泉、竹中」以後、日本はその道まっしぐらではないか。
~終わり~
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『田中龍作ジャーナル』は2021年も生活者の目線から権力を追及します。
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