都庁舎の下で暖かい食事が生活困窮者に提供されると聞き、心配になったので取材に出かけた。(「無料の相談会・食品配布」=共催:もやい、新宿ごはんプラス)
東京都がカラーコーンを置いて炊き出しなどをやりにくくしていた場所だからだ。
カラーコーンは3~4週間前に撤去されたが、“復活”の可能性は捨てきれない。
年末年始、食べてゆけなくなる人が増える。炊き出しは彼らの命をつなぐ。炊き出しに支障が出るようなことにでもなれば、記事にして伝える必要がある。
田中の杞憂だった。3~4週間前まで生活困窮者や炊き出しの主催者を悩ましていたカラーコーンは、なかったのである。食事は無事提供された。
とはいえ、居丈高な守衛が目を光らせた。テレビクルーに「敷地に入るな」と命じたりした。
この国の行政は凄まじいまでの思い違いをしている。生活困窮者に手を差し伸べるのは行政の仕事だ。
派遣切りで職と住まいを同時に失った大勢の人を凍死と餓死から救った「年越し派遣村」(2008年)を運営したのも民間団体だった。共助である。
東海地方からやっとの思いで東京にたどり着いた男性は、派遣村が開村するまでの数日間を駅の地下などで過ごした。おでんとオニギリを手にした男性は、寒さとひもじさで体を震わせていた。
あれから12年経つが、行政は何も進歩していない。
~終わり~