「スガ政権による学術会議人事への介入」に抗議する著述家・菅野完。反骨漢の官邸前ハンストは、きょう6日で、5日目を迎えた。
きょうは、これまでで最もせわしない一日となった。
来日中のポンペオ米国務長官が首相官邸を訪ねるため、菅野は警察にベースキャンプの移動を迫られた。
“引っ越し” は朝8時。ポンペオ長官の来訪は午後2時であるのにもかかわらず、だ。
菅野と支援者は、台車にクーラーボックス、毛布、コートなどの “家財道具” を積んで、衆院第2議員会館前まで移動した。警察から点字ブロックの内側から出ないよう強く要請された。菅野と支援者は、点字ブロックを踏まないよう細心の注意を払った。
議員会館前は国会議員や政府関係者が往来する。共同通信論説副委員長から華麗な転身を遂げた柿崎明二・首相補佐官が通りがかった。
柿崎と菅野はかねてから面識がある。立ち止まった柿崎に菅野が、「これヤバイんじゃないの?」と言って地面に置いたプラカードを指さした。プラカードには「日本学術会議への人事介入に抗議する」。
柿崎は絶句した。胸に下げたIDカードには「内閣官房」とある。
以前のように記者の肩書であれば、「あれはマズかったねえ」などと言えたが、首相補佐官となった今は、口が裂けても言えない。それも菅野完を前にして。
すっかり陽が暮れた夕方5時30分。菅野は官邸前に“帰郷”した。
時をほぼ同じくして、官邸前では学術会議の人事介入に抗議する集会が開かれた。
任命リストから外された小沢隆一・慈恵医大教授(憲法学)も参加した。
集会を終えた小沢教授は菅野に「ご苦労様」とねぎらいの声をかけた。
「ご苦労様なんて言ってくれたのは、小沢先生が初めて」。目も頬も すっかり くぼんだ 菅野の顔がほころんだ。(文中敬称略)
~終わり~