救える命も救えない 院内感染が増えるワケ

院内感染が出た一般の病院。外来患者を受け入れていたが、救急外来は休止していた。=14日、都内 撮影:田中龍作=

 保健所を減らしたことが院内感染の増大につながっていることが分かった。

 保健所がPCR検査の遅れを指弾されるため、PCR検査を一般の病院に任せるケースもあるというのだ。田中の旧知の医師が明かした。

 一般の病院とは感染症指定病院ではない病院のことだ。感染症の専門知識を持つ医師、看護師はおらず、陰圧室などの設備もない。

 そうした病院に対して、首都圏の某保健所は「検体を取りに行きますから、検体を採っておいて下さい」と言うのだそうだ。

 病院の看護師らはN95マスクや防護服を着けないまま、患者の鼻に綿棒を突っ込んでグリグリとやる。とうぜん看護師は飛沫を浴びる。

 看護師と、看護師に濃厚接触する医師は、隔離病棟のない病院内を行き来する。

 外来患者のいる待合室や入院患者のいる病棟にウイルスが持ち込まれる。院内感染のパターンだ。

院内感染を告げる貼り紙。外来診療は休止となっている。=14日、都内 撮影:田中龍作=

 保健所を簡単に責めることはできない。統廃合された結果、手が回らなくなっているのだ。

 行政のお粗末さには目を覆うばかりである。本来使い捨てのはずのN95マスクを厚労省が「使い回せ」と通達するありさまだ。N95マスクはある所にはあるのだが、一般の病院にまでは行き渡らない。

 棄民政策ならぬ「棄医療現場政策」が始まっていると言ってよい。

 院内感染が出た病院では救急外来を閉じたりしている。

 田中の女房は気管支喘息の持病を持つ。昨夏、呼吸ができなくなり救急搬送された。手当の結果、一命を取り留めた。

 救急外来があちこちの病院で閉ざされれば、救える命も救えなくなる。医療崩壊の恐ろしさだ。
 
        ~終わり~
      
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