「年越し大人食堂」東京に出現 生活困窮者続々と 

会場は利用者で一杯となった。扉まで温かい料理の匂いが漂ってきた。=31日、四谷 撮影:田中龍作=

 みちのく仙台に続き、首都東京にも大人食堂が登場した。 

 子どもが満足に食べることができなくなったのは、大人が食べて行けないからだ。それは全国共通の病理である。

 年末年始ともなると、非正規労働者や年金生活者などは、さらに食べて行けなくなる。

 日頃、生活困窮者への支援活動を続ける「東京アンブレラ基金」などが主催して大晦日のきょうと新年1月4日、大人食堂を開く。

 東京・四谷の会場は31日12時30分のオープンと同時にほぼ満員となった。

 利用者に聞いた。ほぼ全員が生活困窮者だ。

 40代の男性は、建設現場で日雇い労働者として働いていたが、24日を最後に仕事がない。

 漫画喫茶に寝泊りしていたが、持ち金が尽き、食べて行けなくなった。


メニューは「炊き込みご飯のオニギリ」「白菜とブタ肉のスープ」「レンコン、カボチャのサラダ」。利用者たちは舌鼓を打ちながら、あっと言う間にたいらげた。=31日、四谷 撮影:田中龍作=

 25歳の青年は警備会社の契約社員だったが、11月一杯で解雇となり寮を追い出された。

 ネットカフェで夜露をしのいでいたが、持ち金を取り崩した。現在は池袋の路上で暮らす。東京各所の炊き出し会場を回りながら、空腹を満たす毎日だ。

 男性は「料理が温かくていい」と嬉しそうに語った。

 この国は雇用破壊がとめどなく進み、生活保護などのセーフティネットはまともに機能しない。

 政権与党、官僚、連合、記者クラブに代表される上級国民以外は、いつ誰が大人食堂のお世話になるか分からないのだ。主催団体は1月4日、新宿区大久保で大人食堂を開く。


料理研究家の枝元なほみさんらが腕をふるった。食材の白菜は体にやさしくさせるため発酵させているそうだ。=31日、四谷 撮影:田中龍作=

   ~終わり~

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