築地の水神様、鳥居撤去 強風で作業は度々中断

「水神」の神額が外される瞬間。作業員は脚立から落ちるのではないかと思えるほど不安定だった。=4日、築地場内 撮影:筆者=

「水神」の神額が外される瞬間。作業員は脚立から落ちるのではないかと思えるほど不安定だった。=4日、築地場内 撮影:筆者=

 築地の守り神として信仰を集める「魚河岸水神社(スイジン様)」の鳥居がきょう撤去された。神をも畏れぬ移転推進派の凶行である。撤去作業は人目につかぬよう、休市の水曜日に こっそりと 行われた。

 フジテレビ系の有名番組制作会社がビデオカメラをセットしていた。田中が来ると、彼らはヘルメットにあったフジ産経グループの「目玉マーク」をテープで隠した。そして「東京都の撮影許可は取ったのか?」と田中に詰問してきた。

 彼らが記者クラブ根性をむき出しにしたことが、この日の作業の性格を物語っていた。

 午前8時をわずかに回った頃、築地に着くと撤去の準備作業がすでに始まっていた。ロープの掛りをよくするために、工事作業員がノミなどを使って鳥居に傷を入れた。

 8時43分、作業員が『水神』の神額を鳥居にくくりつけていた番線(太目の針金)を大型ペンチで切断した。神額は おもむろに 鳥居から外された。脚立に乗った作業員の体は、小刻みに震えているように見えた。神額は「移転する、しない」で揉めていた頃、何度か落ちたことがあるという。

 氷の交換のため休日出勤してきたという仲卸業者は、車を止めて神社に歩み寄った。「マジかよ」と言い呆然と立ち尽くした。

神社のシンボルである鳥居は無残にも解体されていった。=4日、築地場内 撮影:筆者=

神社のシンボルである鳥居は無残にも解体されていった。=4日、築地場内 撮影:筆者=

 自転車で駆け付けてきた女将さん会の一人は「スイジン様ごめんなさい」「スイジン様ごめんなさい」と唸りながら手を合わせた。

 鳥居本体の撤去作業は慎重に進められているように見えた。柱とそれに乗っかる「笠木」「貫」を回転ノコギリで切り分けた。かん高い擦過音と共にコンクリートの白い粉塵が飛び散った。

 柱の抜き取りは難航した。台石が地中にどっしりと埋め込まれていたからだ。作業員はドリルとスコップで台石をむき出しの状態にした。やっとこさ柱にロープがかかったが、吊り上げようとすると強風が吹いた。作業はその度に中断した。神の御意思だろうか。

 市場内に神主の資格を持つ従業員がいて、「水神様を勝手に動かしてはいけない」と警告を発していたそうだ。

 鳥居の撤去作業が終わった時、時計の針は11時15分を回っていた。

 移転推進派のリーダーが氏子全員に断ることなく独断で専行してしまった水神様の遷座。焦って進めたにもかかわらず、豊洲への市場移転は遅れそうだ。祟りなのだろうか。

「水神様ごめんなさい」。築地女将さん会のメンバーは手を合わせた。=4日、築地場内 撮影:筆者=

「水神様ごめんなさい」。築地女将さん会のメンバーは手を合わせた。=4日、築地場内 撮影:筆者=


    

    〜終わり~

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