低所得者をも生活困難にする 厚労省が絶望的な生活保護政策

日弁連による 全国一斉生活保護ホットライン 。「役所の窓口に行くと『親戚に面倒を見てもらえ』『(借地権付きなのに)家を売れ』と言われ生活保護申請をさせてもらえなかった」などとする相談が寄せられた。=11日、霞が関 撮影:筆者=

日弁連による 全国一斉生活保護ホットライン 。「役所の窓口に行くと『親戚に面倒を見てもらえ』『(借地権付きなのに)家を売れ』と言われ生活保護申請をさせてもらえなかった」などとする相談が寄せられた。=11日、霞が関 撮影:筆者=

 “画期的な” 政策を間もなく国が打ち出す。低所得者が生活困難になる構図を作り出すのだ。

 生活保護のうち食費や光熱費などに支給される「生活扶助費」が、来年度からさらに削減されそうだ。

 厚労省は今月中にも生活扶助費の削減が妥当とする報告書を出す。安倍内閣はそれを年明けに始まる通常国会に「政府予算案」として提出する。

 出せば通ることは間違いないので、生活扶助費は来年4月から最大で10%削減されることになる。

 生活保護の切り下げは、低所得者の生活をより苦しくさせる。生活扶助費は38以上もの制度と連動するからだ。「最低賃金」「住民税の非課税」「医療費」「就学支援」などだ。

 生活扶助費の支給額が削減されれば「最低賃金」の基準は下がり、「住民税の非課税」基準なども下がる。低所得者の生活は苦しくなるのだ。絶望的である。

前回(2013年)、生活保護の引き下げに反対する署名10万2,101筆が厚労省に持ち込まれた。=2013年1月、厚労省玄関 撮影:筆者=

前回(2013年)、生活保護の引き下げに反対する署名10万2,101筆が厚労省に持ち込まれた。=2013年1月、厚労省玄関 撮影:筆者=

 「生活保護受給者の収入が一部の低所得者の収入を上回ったため」…厚労省が生活扶助費の引下げに用いる根拠は完全にマヤカシである。

 算定データが身勝手でいい加減だ。『生活保護基準部会』が抽出した低所得世帯には、何らかの理由で生活保護を受給できなかったり、追い返されたりした世帯が含まれているのだ。

 支出、収入ともに生活保護受給世帯より低くなる所から算出しているのである。
 
 こうして低所得者を貧しくしておいて、「生活扶助の金額が一般の低所得世帯の生活費を上回った」とうそぶく。トリックで生活扶助費を減らすのである。国は負のスパイラルを作り出すのに成功した。

 生活扶助は前回(2013年)も最大で10%削減されており、今回と合わせて約20%削減されることになる。皆さん、月収が2割減ったら、あなたの家庭の生活はどうなりますか?

 働いても働いても生きてゆけない奴隷のような層が、確たる割合で作られ、その層は年々厚みを増してゆくことになる。

     〜終わり~

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