(太字は田中龍作の勝手な解釈)
日本がアメリカの属国に過ぎないことを改めて認識させられる著作だ。「日本はなぜアメリカのために戦争をするのか?」を明快に解き明かしてくれた。
国権の最高機関は国会ではない。日本の最高意思決定機関は「日米合同委員会」なのである。同委員会の所在地は「ニュー山王米軍センター(通称・ニュー山王ホテル)=東京都港区」。
ここで毎月、同委員会が開かれる。米軍のエリート将校と霞が関の高級官僚が35の部会に分かれて、日米の軍事問題を中心に協議する。
日本の憲法を機能停止に追い込んでしまう重大な取り決めが交わされる(実際は押し付けられる)こともある。
1953年9月29日に合意した取り決めは ―
「日本の当局は所在地のいかんを問わず(=場所がどこであろうと)合衆国軍隊の財産について、捜索、差し押さえ、または検証を行う権利を行使しない」
米軍機が墜落すると米軍が現場を封鎖し、日本の警察や消防は手出しできない。米軍が好き勝手にできる法的根拠は、この取り決めに由来するのである。
日本はアメリカの戦争に協力してきたが、自衛隊が国外に出て戦うことだけは拒否することは許されてきた。
これまで「指揮権密約」つまり「米軍が日本の軍隊を自由に指揮するための密約」について議論されることはほとんどなかった。
だが昨夏、安保法制をめぐる議論のなかで、それはあぶり出された。自衛隊は米軍の指揮下に置かれ行動するのである。
第1回目の「指揮権密約」は吉田茂首相が1952年7月23日、極東軍司令官、駐日米国大使との間で結んだ。日本独立からわずか3か月後のことである。
吉田首相は「有事の際に単一の司令官は不可欠であり、現状の下でその司令官は合衆国によって任命されるべきである」ということに同意した。
63年を経た昨年、安保法制が成立。上記は現実のものとなったのである。
「自衛隊が日本の防衛とはまったく関係のない場所で、米軍の指示のもと、危険な軍事行動に従事させられる可能性」や「日本が自分で何も決断しないうちに、戦争の当時国となる可能性」は飛躍的に高まった。
~終わり~