「私たちは二度と赤紙を配らない」。ギョッとするフレーズの赤い横断幕を持っているのは自治体労働者だ。
戦前・戦中は役場が兵役適格者の名簿を作って軍部に提出し、軍部の要請に応じて割り振られた人数分の召集令状(赤紙)を該当者あるいはその家族に届けた。
赤紙を模した横断幕を持つ男性は「自治体労働者(役場の職員)として赤紙を配るようなことは二度としたくありませんから」と話すと口を真一文字に結んだ。
開演時刻の6時30分にはすでに日比谷公園は満席となった。来週月曜日にも安保法案が参議院で審議入りすることもあって会場はピリピリとした雰囲気が支配した。
国会論戦の潮目を変えたといわれる憲法学者の小林節・慶大名誉教授が登壇した。
「世論の力で廃案に追い込もうと思ってもムダです。バカの壁がありますから。確信犯に説教するようなものです。選挙で政権交代させ廃案にするしかありません」。
過激なユーモアをたっぷりと交えた小林名誉教授の演説に会場は沸いた。
長野県から駆けつけた女性(70代)は、夫の母が戦争未亡人だった。
「安倍さんを見たくない。何とかして廃案にしたい。子や孫の世代は戦争に行く(可能性がある)。戦争未亡人を生み出したくない」。
赤紙を目にし、戦争未亡人の義母の話を聞く。昭和にタイムスリップしたように錯覚したのは、アベシンゾーが歴史のコマを戦前に戻そうとしているからだろうか。
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